研究課題/領域番号 |
18K18638
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
田中 伸 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70508465)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 社会科教育 / カルチュラル・スタディーズ |
研究実績の概要 |
本研究は、日本で行われている文化学習の改革を目指すものである。本年度は、カルチュラル・スタディーズの方法論に基づき、社会の中で特定の価値観や思想が一定の見方・考え方を作り出し、それが場面によっては教育を通して作用している実態とその過程を分析、解体する授業を開発し、実践し、以下に示した。 ・Noboru Tanaka 'Culture and Tradition at School and at Home’ University of Turku, 38-58, 2021(分担執筆) ・田中 伸「学際性に基づく資質・能力論-汎用的な資質・能力-」『地理歴史授業の国際協働開発と教師への普及』風間書房、pp.79-90、2022(分担執筆) ・田中 伸「レリバンス論とその射程」『レリバンスの視点からの歴史教育改革論』風間書房、pp.53-72、2022(分担執筆) ・中山 智貴・行壽 浩司・田中 伸・吉水裕也「レリバンスの構造転換に着目した社会科地理授業(1)-子どもの切実性と結びつけた地理的な「見方・考え方」の指導方略-」『岐阜大学教育学部研究報告(人文科学)』70号、Vol.2、pp.21-30、2022
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、昨年度まで実施を予定していた英米の研究者へのインタビュー調査、及び中等学校で実地調査が、新型コロナウイルスの蔓延に伴い、再度不可であった。本年度に繰り越して再デザインを行った調査も全てキャンセルをせざるを得なかったことから、英国・米国の学校で実施されている文化学習の実態の分析については次年度へ行う形とした。 ただし、一昨年度から進めている先行研究の分析、及び日本国内での実験授業の開発、実践は順調に進み、その成果は著書、及び論文として発表した。本年度は社会的状況が若干変化したため、あらためて海外の研究者へのインタビュー調査、学校での授業見学やカリキュラムデザイン等を実施できる様、調整を進めてゆく。
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今後の研究の推進方策 |
現時点(5月中旬)の段階で、英国・米国への出張・調査の条件は、昨年度までと比較し緩和しつつある。そのため、本年度は可能な範囲で海外の研究者へのインタビュー調査、及び学校での実地調査を行うことができるよう、先方の研究者及び学校と調整を進めてゆく。ただし、先方の大学及び学校の受け入れ状況によって実施が不可となった場合は、研究者へのインタビューはオンラインで実施してゆく。 各種実地調査が順調に進んだ場合は、現在進めている文化学習論のモデル化、及び本年度発表した著書や論文の成果を踏まえ、進捗状況を含めて各種学会等で発表をしてゆく。しかしながら、上記に記載した通り社会的状況次第では、海外での実地調査は取りやめ、現在進めている日本国内での調査をベースとした学習論開発へ切り替えてゆく可能性も検討する。いずれにしても、柔軟に研究計画を修正できるよう、努めてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延により、当該年度は当初予定していた海外調査を全く行うことができない状況であった。したがって、海外を対象とした認識調査については、コロナウイルスの社会的状況を見ながら、適宜判断を行う。また、ヨーロッパ調査が不可である場合は現在、米国・英国と並行して共同研究を進めている北欧諸国を対象とした調査に切り替えることで、調査が迅速かつ効果的に進む様に努める。
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