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2022 年度 実施状況報告書

創造的問題解決におけるアイディアの有望性判断失敗メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K18639
研究機関静岡大学

研究代表者

大島 律子  静岡大学, 情報学部, 教授 (70377729)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2024-03-31
キーワード有望性判断 / 創造的問題解決 / 協調学習 / 社会ネットワーク分析
研究実績の概要

本研究では,小グループで取り組む創造的問題解決場面において典型的に発生する「アイディアの有望性判断の失敗」に着目するものである.この失敗とは将来性・発展性のないアイディアを選んで検討する,あるいは一番最初に出たアイディアを安易に採用し,最終的に質の低い問題解決となることを指す.本研究では,この有望性判断失敗の生起メカニズムを明らかにすること,さらに失敗の予兆を捉える客観的手法を提案することが目的である.
当該年度は,アイディアの有望性判断に成功したグループの持つ3要件「不採用アイディアについての吟味・検討」,「最終的に採用したアイディアについての吟味・検討」,「採用したアイディアの正当性を裏付けるための検討」を持ちつつも有望性判断に失敗したグループの失敗要因を成功グループと比較することで細かく分析した.
具体的には,次の4つのステップで検討した.ステップ1:全学習者グループを対象とし,毎授業後に記述した進捗報告と活動の振り返りから得られた全ての名詞単語について社会ネットワーク分析の手法を用いて次数中心性係数を算出,ステップ2:得られた単語の次数中心性係数をもとにクラスター分析を行い5つの対話トピックに分類,ステップ3:重回帰分析により,グループの提案に対する評価得点の高さに影響を及ぼした上述の3対話トピックを同定,ステップ4:3対話トピックについて,そのトピックが含む単語の次数中心性係数の平均値の時間的推移を表し,高評価(成功)グループと低評価(失敗)グループを比較検討.
結果として,高評価グループと比べて低評価グループには1)提案するアイディアを決定した後になって,もう一度不採用アイディアについて検討していること,2)提案するアイディアを決めた後に,そのアイディアを正当化する裏付けについて検討していること,といった特徴が認められた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍が長引いている影響で,適切な条件でのデータ収集が遅れていることに連動し分析作業も遅れをとっている.このため,研究の進捗も遅れている状況である.

今後の研究の推進方策

前年度後半に適切な条件で収集できたデータについて,早い段階から分析に着手する計画を立てており,それを実行することで,研究の目標を達成できる見込みである.

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響により,適切な条件の揃ったデータの収集と分析が不十分であり,思うように研究発表ができなかった.次年度は条件の揃ったデータで分析を行い,研究成果発表を加速させる予定である.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] ブレンド型授業を用いた知識構築実践の設計と評価:知識構築分析学からのアプローチ2022

    • 著者名/発表者名
      川久保アンソニージェイ太稀, 栢木貫, 大島純, 大島律子
    • 雑誌名

      日本教育工学会論文誌

      巻: 46 ページ: 1-11

    • DOI

      10.15077/jjet.46021

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Diversity in Learners’ Contributions to Idea Improvement Processes Among the High Learning-Outcome Groups in a Knowledge Building Practice2022

    • 著者名/発表者名
      Anthony J Taiki Kawakubo, Jun Oshima, Ritsuko Oshima
    • 雑誌名

      CSCL Proceedings (ISLS Annual Meeting 2022)

      巻: 1 ページ: 308-311

    • 査読あり
  • [学会発表] 創造的問題解決における学習成果を高める対話トピックのプロセス分析2023

    • 著者名/発表者名
      川久保アンソニージェイ太稀,大島純,大島律子
    • 学会等名
      日本教育工学会2023年春季全国大会
  • [学会発表] PBL学習を通じたコミュニケーション不安低減の要因分析2023

    • 著者名/発表者名
      熊澤 伶桜奈,鶴 友里子,大島 純,大島 律子
    • 学会等名
      日本教育工学会2023年春季全国大会
  • [学会発表] 学習成果の違いから見る対話トピックにおける個人貢献2022

    • 著者名/発表者名
      川久保アンソニージェイ太稀,大島純,大島律子
    • 学会等名
      日本教育工学会2022年秋季全国大会
  • [学会発表] Temporal Trajectories of Epistemic Views by University Students in a Knowledge-Building Learning Environment2022

    • 著者名/発表者名
      Anthony J Taiki Kawakubo, Jun Oshima, Ritsuko Oshima
    • 学会等名
      ISLS Annual Meeting 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 社会的スキル尺度と協調学習に対する意識の関係2022

    • 著者名/発表者名
      熊澤 伶桜奈,大島 純,大島 律子
    • 学会等名
      日本教育工学会2022年秋季全国大会
  • [学会発表] 近接中心性係数を指標とした協調対話のアイディア創出2022

    • 著者名/発表者名
      山下 翔太郎,大島 純,大島 律子
    • 学会等名
      日本教育工学会2022年秋季全国大会

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公開日: 2023-12-25  

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