本研究では,大学生の創造的問題解決場面において典型的に発生するアイディアの有望性判断の失敗に着目し,その生起メカニズムや失敗の予兆を把握することを目的とした.有望性判断の成功グループとの比較から,アイディアの発展可能性の未考慮,単一アイディアへの固執,裏付けや整合性の未検討が失敗を導く原因であることが分かった.さらに失敗の予兆を捉えるにはアイディア選択フェーズにおける候補アイディア数,裏付けや整合性の検討の有無,選択アイディアの構造の複雑さなどが判断基準となることが明らかになった.さらにこれらを踏まえた教授的介入の効果は,学習成果の質の底上げとして現れることがわかった.
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