2018年に構想段階の試作機プロトタイプ1から,試作機1を開発し,モデル演奏者での検証をした.提案装置の3つのコンセプトを確認するため,次の3つの被験者実験をした.1つ目は,「支援装置を使用することで,すぐに演奏することが出来る」という条件を満たしていることを障害者11名で検証した.2つ目は,障害者が「自主的に楽器演奏練習を継続することが出来るか」という条件を満たしているか1名の頚髄損傷の障害者で検証した.3つ目は,上肢障害のある人が F-Ready を使用し楽器演奏練習をすることで,上肢機能のリハビリテーション効果が得られるかどうかについて1名の障害者で検証した.検証により,提案したギター演奏補助装置F-Readyが,3つのコンセプトを満たした装置になっていることを確認した.これらの内容をもとに,博士論文「障害者が主体的に楽器演奏学習を継続するための支援に関する研究」を完成させた.さらに,原著論文「ギター演奏支援装置 “F-Ready”の開発」は,情報処理学会特選論文(2022 年)を受賞した.情報処理学会アクセシビリティ研究会での研究発表「障がい者でも長く楽しめる楽器を目指して~装置と身体動作へのサポートの在り方~」では,ヤマハ賞を受賞した. 今後の課題として,被験者数を増やすことにより,障害の程度によっては装置を使うことができない場合も確認しており,直接操作する部分のアタッチメント改良や,設置方法などの検証が必要である.
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