研究課題/領域番号 |
18K18645
|
研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
成田 一人 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (50404017)
|
研究分担者 |
仲矢 史雄 大阪教育大学, 科学教育センター, 教授 (90401611)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
キーワード | 視覚障がい者支援 / フォトグラメトリー / 点字 / 点図 / 凸図印刷 / 3D印刷 / ものタグシール / IoT |
研究実績の概要 |
本研究は,2ヵ年計画であり,机上において物の形状・仕組みを触覚・触感により知ることができる新しい視覚障がい者向け学習支援教材を開発し,視覚障がいのない人とある人の間にある視覚上の差を補い,共通の理解を育むことを目的とする。具体的には,①形状・光景の撮影,②触感し理解できる図面の作成,③点図及び立体模型の作製,④教材の活用及び情報発信の4つの課題からなり,各分野を統合した研究推進により,物の状態を知ることができる視覚障がい者向け支援アイテムを開発し普及を図るものである。2019年度は,次に述べる二項目に焦点を当て研究を実施した。 一項目として,虫眼鏡を用いて観察するような小さなもののリアル画像から3Dモデルを作製することに取り組んだ。前年度に,市販カメラで撮影した複数枚の写真からフォトグラメトリー法により,蜘蛛,蜂,蝶等のリアルな形状を3D-CADデータとして取得することに成功した。今回さらに小さなものの撮影に挑戦するため,撮影機材を長作動距離マイクロスコープに代えての同様の撮影を試み,蟻の3Dデータ取得に成功した。蜘蛛,蜂,蝶,蟻の3Dデータを用いて実際に3D印刷を行い,これらと一緒に紙に立体印刷した解説用の点字と凸図を添えて一組の教材の形とした。 二項目として,視覚障がいがある人が理解できる路線図の開発に取り組んだ。紙への立体印刷とNFCタグシール(ものタグシール)を用いたIoT技術の導入により,点字と凸図に加えて音声による情報の提供を可能とした。 作製した各支援アイテムについて,全盲の大学生に有用性の可否について意見を求めた結果,3D印刷モデル,立体印刷資料,音声情報の全てが,視覚障がいのある人のニーズに対応した好感の持てる製作物になっていることが確認され,特に視覚支援学校での教材利用が適しているという結論に至った。
|