研究課題
本研究は、災害後に行われる社会モデルとしての「寄り添い支援」に着目し、その一環として被災者がアート等を通して表現する「安心」を分析し、その意義や研究の方法論、分析方法を明確にすることを目的としている。被災地への訪問や対面活動を前提としていた本研究は新型コロナウイルス感染拡大のために進行が遅れたが最終年度の2023年度には、ワークショップ等のまとめ及び今後の展開の検討に焦点を絞った。実績としては、代表者が共同編著したMaking Disaster Safer (Springer)に「アートによる寄り添い支援」の事例研究を取り入れ、被災者支援にアートを用いる有効性を実証的に示した(第2章、第10章)。また、学会等においては、減災シンポジウムや多文化共生のセミナーで研究代表者が寄り添い支援におけるアートの有効性について報告を行い、分担者(高田)が障がいを持つ子どもを対象とした学会報告を行った。実践ワークショップを5回行った。その中で特筆すべきワークショップ活動は岩手県大船渡市の小学校で行ったものである。初回は東日本大震災が発災した2011年に大船渡で生まれた子ども(2年生)と対面で行い、それ以降はオンラインで絵本とアート(お絵描)による交流を継続し、被災地の子どもたちの成長を捉えた。2023年度は6年生になった子どもたちに本研究を通して開発した「お絵描き絵本」を用いたオンラインワークショップを実施した。このようにコロナ禍にもかかわらず、寄り添い支援を5年間も同じ児童と継続して実施したことが関係者や現地新聞によって高く評価され、支援活動におけるアートの有効性を実証できた。さらに、本研究の成果の一つである「お絵描き絵本」を2024年4月の国際学会で報告するために「安心」につながるものとしての「希望」に関する物語を作成し、海外での発表の準備を行った。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 7件) 図書 (2件)
Making Disaster Safer
巻: 0 ページ: 19~39
10.1007/978-981-99-4546-7_2
巻: 0 ページ: 197~215
10.1007/978-981-99-4546-7_11
作業療法
巻: 42 ページ: 151~159
10.32178/jotr.42.2_151