研究課題
本研究は、世界レベルの大学ランキングを批判的に分析・検討し、公平性と卓越性を始めとした多目的・多機能の同時最適化を図れる理想の大学モデルを模索することにある。今年度は、研究協力者として、研究代表者の所属大学の院生3名(宮田弘一、松宮慎治、中尾走)を加え、引き続き大学教員の個人レベルでの教育研究活動の最適化についての数理モデルを構築中であり、教育・研究の相乗効果を数理モデル化しつつある。ただしいくつかの仮定について再考する余地があり、引き続きモデルの改善を図っている。また、本課題を達成するためには、方法論の深化が不可欠であり、高等教育研究における計量分析の現況と課題についての検討を行うとともに、計量分析手法そのものについての動向と課題に関しても追跡・整理した。その結果、EBPMで推奨されるRCT至上主義の陥穽を指摘するとともに、RCTの代替選択肢としてのPearl 流分析アプローチの可能性を検討した。その成果の一部は立石・丸山・速水・松宮・中尾・村澤(2019)として上梓した。その他方法論上の卓越化を狙った研究成果として、能力形成における大学組織の介入効果を検討した村澤・中尾(2019)、研究成果に対する大学組織の効果を検討した村澤・中尾・松宮(2019)等の成果を得た。さらに、ほぼ月1回のペースで方法論の研究会を行い、本研究課題を遂行するための基礎力向上を図った(広島大学高等教育研究開発センター・公開研究会、第4,6,8,9,12,13,16,17,18,19、22。なお、27,28回はコロナウイルス対策により延期。詳細は以下URLを参照:https://bit.ly/34EQTLX)。
2: おおむね順調に進展している
研究協力者の参画により、大学教員の個人レベルでの教育研究活動の最適化についての数理モデルを構築中であり、教育・研究の相乗効果について引き続き数理モデル化しつつある。また、本課題を達成するためには、先行研究の検討と方法論の深化が不可欠であり、今年度は、昨年に引き続き高等教育研究における計量分析の現況と課題についての検討を行うとともに、計量分析手法そのものについての動向と課題に関しても追跡・整理した。その成果は『教育社会学研究』の特集論文として掲載された。また、ほぼ月1回のペースで方法論の研究会を行い、本研究課題を遂行するための基礎力向上を図ることができた(広島大学高等教育研究開発センター・公開研究会、第4,6,8,9,12,13,16,17,18,19、22。なお、27,28回はコロナウイルス対策により延期。詳細は以下URLを参照:https://bit.ly/34EQTLX)。以上の状況を総合的に判断すると、「概ね順調に進展している」と判断できる。
1.引き続き、現在構築しつつある教育研究の 同時的最大化に関する数理モデルの構築を進め、完成を目指す。構築した数理モデルの実証については、「大学教授職」研究にて収集された大学教員に関する時間配分・研究教 育成果のデータを用いた分析を通じて行う。2.引き続き、課題遂行のための機関レベルでのデータの整備を進める。その際、東京大学大学経営政策コースと広島大学高等教育研究開発センターが連携して進めている 「大学機関データベース」および東洋経済新報社刊の「大学四季報」データのパネル・データ化による整備を進める。3.上記2については、研究協力者を追加し、『マイナビ』による卒業生の個票データをマージする。併せてWeb of Scienceの研究論文数データもマージする。これら作業を通じて、教育成果・研究成果の指標の充実を図り、研究教育の同時最適化の要件を探る。
2019年に予定していた学生・教員を対象としたアンケート調査について、調査協力が得られにくいことから先送りとなった。2020年度は、他の共同研究者からデータ入手の目処が立ち、データ分析に着手する。その際、分析補助が必要となるので、院生等を分析支援者として人件費を拠出して雇用する。この対応により繰り越し分を含め、計画的に予算執行が可能となる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)
Studies in Higher Education
巻: 46 ページ: 1-25
大学論集
巻: 52 ページ: 35-49
巻: 52 ページ: 101 - 116
教育社会学研究
巻: 104 ページ: 29-55
名古屋高等教育研究
巻: 19 ページ: 153-169
10.18999/njhe.19.153
巻: 104 ページ: 81-104