研究課題/領域番号 |
18K18654
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
石野 洋子 山口大学, 大学院技術経営研究科, 教授 (90373266)
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研究分担者 |
林 裕子 山口大学, 大学院技術経営研究科, 教授(特命) (90637456)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 技術経営 / ホライズン・スキャニング / フォーサイト |
研究実績の概要 |
本研究では,技術と経営の両方の知識を持った人材養成を目的とする技術経営(MOT: Management of Technology)の教育において,社会ニーズに応える教育内容を継続的にカリキュラムに組み込むための斬新な方法論を開発することを第一の目的とする.そして,実際に提案方法を実践して,その結果を検証することを第二の目的とする.目的を達成するために,ホライズン・スキャニングとフォーサイトの2つをベースとしたMOTの兆し教育コンテンツを形成する方法論を提案する. H30年度は,まず,国際的な研究動向や政府の動きをモニターして分析し,新しい潮流や兆しを発見するホライズン・スキャニングに重点を置いた.高齢化が進む日本での新しい潮流を発見するために,高齢者が頻繁に訪れるBusiness to Consumer (B2C)の電子商取引サイトに着目した.20代から60代以上の20万人以上のパネルの1年間の行動記録を含むウェブログデータを分析し,その結果,高齢者が他の年齢層と比較して特に関心がある製品カテゴリは健康食品であること、そして、特有の指名買いに近い行動をしていることを明らかにした。この結果を「Elderly Consumers' Behavior in Business-to-Consumer E-Commerce in Japan」というタイトルで,MOTの代表的な国際学会のひとつであるIAMOT 2019で発表した.IAMOT2019に参加している他の研究者との議論を通じ,質的なホライズン・スキャニングを行った. その一方で,フォーサイト過程としては,「IoT(Internet of Things)」をテーマに,株式会社シンコー,因島機械株式会社の経営者を招いて,IoTへの取組みを講義してもらい,山口大学大学院技術経営研究科の修了生で議論し,今後の方向性の予測を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホライズン・スキャニングについては,20万人以上の消費者の1年間の行動記録を含むウェブログデータを分析し,高齢者のE-コマースの潮流を発見した.また,フォーサイト過程としては,「IoT(Internet of Things, モノのインターネット)」をテーマに山口大学大学院技術経営研究科の修了生を集めて,先進的な試みを行っている中小企業の経営層の講演会を企画し,議論を行った.
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今後の研究の推進方策 |
MOTの大規模な国際学会である IAMOT 2019,PICMET 2019の予稿集のテキストマイニングを行い,語の共起状態の変化から研究動向の変化を調べる.その一方,アメリカ,欧州諸国,アジア諸国などの白書に対してテキストマイニングを行い,科学技術動向を把握する.これら2つのテキストマイニングにおいて,AI(人工知能)の一分野である機械学習を用いて,2単語以上の意味のあるフレーズとして情報を抽出する方法を開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
IAMOT 2019(the 28th International Conference for Management of Technology)の開催(インド・ムンバイ)の日程が2019年4月8~10日で,費用の計上が次年度になった.また,家人の病気のため出席予定だった人工知能学会に出席できなかったため,次年度使用額が生じた. 2019年度は,IAMOT 2019に加えてKES-AMSTA 2019(2019年6月17-19日,マルタ)とICIM2019(2019年11月26-28日,スペイン)に出席予定で,その旅費に使用する.
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