研究課題/領域番号 |
18K18656
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
峯 恒憲 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (30243851)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 振り返り文 / 成績推定 / 機械学習 / 目的語 / 繰り返し表現 / 中学生 / 深層学習 / 属性選択 |
研究実績の概要 |
本課題に協力してもらっている学習塾より,中学生(1年生から3年生まで)のデータを2年分提供してもらうとともに,継続的な提供とフィードバック方法について検討した.提供を受けたデータをもとに,生徒の成績推定に有用な属性と機械学習手法の組み合わせ調査を行った.具体的には,利用可能なすべての属性の組み合わせ(127通り)を,5種類の機械学習手法と組み合わせて,総当たり的な調査を行った.その結果,仮説として挙げていた,理解度に関する動詞の目的語の情報や,繰り返し表現の有無が,成績推定に有用であることを確認した. 日本ならびに海外の大学生や中高生が学習に利用したe-Learningシステムの操作ログを分析し,STEM (Science, Technology, Engineer, Mathematics) 分野に進むか否かの推定や,成績推定に有用な属性の特定を行い,高精度な推定手法を実現した.その推定手法では,分析に必要なパラメータチューニングを遺伝的プログラミングを利用し,自動的にパラメータの決定を行うとともに,最適な機械学習器の選択自体も,自動選択する手法を利用することで,高精度な推定手法を実現した.STEM分野への進路予測のコンテストでは2位となり,その予測手法をまとめた論文が,国際論文誌Journal of Educational Data Miningに採択され,現在,その出版の準備中となっている. また,本課題を遂行するための関連技術開発として,深層学習を利用する前の属性選択手法の有効性確認を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の目的として挙げていた,学習塾より提供された中学生のデータに基づく成績推定手法の開発は実現できた.また,大規模に学習塾を経営している会社との共同研究の実施が新たに決まり,本研究の成果を,大規模データに基づき発展させられる道筋ができた.さらには,海外のデータを利用し,STEM分野への進路予測のコンテストでは2位となり,その予測手法をまとめた論文の国際論文誌Journal of Educational Data Miningの採択が決まり,出版準備に入っている.また,本課題に関連する技術として,深層学習のための前処理としての属性選択の有用性も示すこともできた.一方,実現できた内容の全てを,国際会議や論文誌などで発表できていない点が課題として残り,当初の計画以上とは言えない.
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今後の研究の推進方策 |
まず,2019年度に開発した手法について,国際会議ならびに論文誌に投稿し,成果発表を行う.次に,新たに得られる予定のデータに基づき,開発済の手法の有効性を確かめるとともに,その手法の精度向上を図る.また,学生や生徒の学習能力(成績)を推定するためには,彼らの学習状況や満足度などを推定することが求められ,そのためには,推定に必要な情報を引き出す必要がある.そのための手法の開発(例えば,チャットボットの開発や,その他のデータ取得手法の開発)を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの関係で,国内会議および国際会議への出張がキャンセルになった.また,成果発表を予定していた学会が,2020年度にまたがっていた.
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