研究課題/領域番号 |
18K18665
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鳥谷 真佐子 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科(日吉), 特任講師 (90420819)
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研究分担者 |
阿児 雄之 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 主任研究員 (00401555)
野口 淳 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 客員研究員 (70308063)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 博物館評価 / フレームワーク / システムデザイン・マネジメント |
研究実績の概要 |
本年度は,新型コロナウィルスの感染蔓延の影響で,当初予定していた博物館関係者とのフレームワーク評価のためのワークショップを開催することができなかった。しかしながら,評価フレームワークの考え方,及び,フレームワークを使って評価項目を作るプロセスで行った議論や気づきに関する報告を学会にて紹介することができた。全日本博物館学会 第 46 回研究大会(オンデマンド開催) ,日本ミュージアムマネジメント学会第25回大会(オンデマンド開催),文化経済学会2020年度研究大会にて発表した。 我々が提案するフレームワークは、博物館学芸員らが意識的もしくは無意識的に普段から行っている評価項目作成の方法を可視化・構造化したものであるため,当たり前のことを示していると捉えられる向きもあった。さらに,我々が提案する物館活動の評価項目作成方法は,もともとは博物館で行われるワークショップや体験学習の評価を対象としたものであったが、むしろ博物館全体のあり方を評価するための方法であると言ったほうが適切ではないかという指摘があった。むしろ,博物館,関係自治体など,所属の異なる複数の関係者らが共にダイアグラムを作成する過程において、問題意識や周辺組織との新たな関係性も含めた博物館の将来像の共有を促すことができる点に意義があるのではないかとの指摘があり,この点については高い評価を得ることができた。 また,フレームワーク開発を進める中で、評価項目作成に至るまで複数のステップが存在するため一つ一つのワークの意味が分かりにくくなると考え、フレームワークに関係する要素間の関係性を表したアーキテクチャを作成した。これにより、各ステップの意味をわかりやすく説明することができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでのところ、博物館ミッション,博物館を取り巻くステークホルダー間の関係性から,評価の観点を抽出し、博物館活動の評価項目を導出することができるフレームワークを作成することができている。本方法についての有効性の評価を、野田市郷土博物館、大阪府立弥生文化博物館、富山県朝日町まいぶんKANの3つの博物館で行ってきた。この有効性評価のサンプル数を増やす必要があったが,本年度は、前述のように、新型コロナウィルスの影響で,有効性評価を行うためのワークショップを開催することができなかった。ただし,岐阜県飛騨市の市職員等が加わる任意団体,石棒クラブのメンバーらと,評価方法作成過程で用いるバリューグラフ等のシステムデザイン・マネジメント手法を使ったワークショップをオンラインで行うことで,オンライン上でも、有効性評価を行うためのワークショップ開催が可能であることの感触を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、新型コロナウィルスの感染状況が収束しない場合は、オンラインにてワークショップを開催し、協力館を増やし,有効性評価を引き続き行っていく。また、本方法論を博物館関係者らに広く知ってもらうため、本方法の目的や手順,効果についての紹介動画を作成し、一般公開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの蔓延のため,出張に行くことができなかったため,旅費として計上していた経費に余剰が生じた。来年度に延長するが,引き続き出張を行うことは難しいと考え,本研究で開発した方法を広く周知するための動画作成に使用することを予定している。
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