研究課題/領域番号 |
18K18676
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
岡田 大爾 広島国際大学, 医療栄養学部, 教授 (60413548)
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研究分担者 |
竹野 英敏 広島工業大学, 情報学部, 教授 (80344828)
松浦 拓也 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (40379863)
趙 悦 広島工業大学, 情報学部, 教授 (90258286)
寺重 隆視 広島国際大学, 医療栄養学部, 教授 (80352045)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 科学技術カリキュラム / 資質・能力 / 北京 / 上海 / 山東省 / 浙江省 / 台北 / 教員養成 |
研究実績の概要 |
台湾や中国大陸沿岸部は、国際調査で日本とともに科学的リテラシーが高く、さらに科学技術に対する興味関心は日本よりかなり高い傾向がみられる。日本の科学技術教育の在り方を再検討する際に、台湾や中国大陸の科学技術教育の実態を明らかにすることは大変重要である。 台湾の小中高の科学技術教育のカリキュラム作成等にかかわった教授5人と2001年に中学校の科学と技術を合科し、2019年に再び分離する経緯について議論し、科学と技術を合科することの長所と短所を推測した。 北京と上海では、次の情報を得た。浙江省の中学校では日本に似た総合科学カリキュラムを実施している。一方、その他の省の中学校では物理・化学・生物の個別の免許を持った教師が対応する科目を教え、地学分野の天文・気象・地質はすべて人文地理と一緒に地理の科目として教えるカリキュラムを採用している。また、技術分野は中学校にない代わりに、普通高校の必修科目となっている。そして、山東省では地方の教育実態を視察した。その結果、教員や子供たちの能力形成において日本の中学校の理科として総合した科目による科学教育と中国の物理・科学・生物の独立した科目による科学教育の長所や短所を推測した。 そして、上記の推測を検証するため、様々な教員養成制度、入試制度、カリキュラムのもとで、子供たちの資質・能力がどのように育成されているかを調べる方法について検討を行った。子供たちのものづくりに対する興味関心についてこれまで欧米や日本で調べてきた調査と比較できるような調査問題を各国の実情にも配慮して作成した。また、すべての諸能力の分析は時間的に不可能なため、社会で大きなイノベーションを起こした人材を育成してきたSTEM教育やSTEAM教育において大変重要とされる空間能力を中心に取り上げて調査問題を作成した。さらに、国内外で小中学生への質問紙調査実施に向けて準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
主に台湾師範大学教授と台北教育大学教授のみへインタビューする予定であったが、加えて国公立の中学校・高校4校の教員・生徒についても十分に時間をかけてインタビューや議論ができ、有用な情報を得ることができた。 また、計画では内陸部の西安の陝西師範大学の研究者との交流が主であったが、国際テストを実施している沿岸部との交流を考え、国直轄の北京師範大学、華東師範大学の他、首都師範大学、山東師範大学、済南大学及びその附属小・中学校の多くの研究者、教員からインタビューや議論をすることができた。上記地域以外に内陸部の西安や独自の総合科学カリキュラムを行う浙江省での訪問インタビューについても先方と合意した。
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今後の研究の推進方策 |
1.下記の様々な科学技術カリキュラムや教員養成等の中で児童・生徒の資質・能力の育成状況を調査・分析する。 ①日本のように科学と技術を別々に教えた場合と台湾のように科学と技術を合科して教えた場合 ②日本のように中学校で技術を必修で学習する場合と中国大陸のように高校で技術を必修で学習する場合 ③日本や浙江省のように中学校で理系の教員が地学を物理・化学・生物と一緒に総合科学として教える場合と中国大陸のそれ以外の省のように、人文地理を一緒に学んだ文系の教員が地学を地理の中で教える場合 2.1の分析等から、日本の科学技術カリキュラム再構築に向けた改善案を提示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
勤務大学が大規模な土砂災害に見舞われ、復旧に大幅な時間をとられたことと、翻訳を外注せず、自分たちで行ったため、また、外国の研究者が謝礼よりも共同研究を加速させるために、日本の教科書の提供を望まれたため、次年度使用となった。31年度は、これらを含めて、調査に関連して翻訳業務が増加するとともに、研究の深まりによる資料収集も充実させて、調査が十分に成果が上がるようにしたいと考えている。
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