研究課題/領域番号 |
18K18679
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松田 奏保 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (70300506)
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研究分担者 |
松尾 優子 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (60621216)
佐々木 彩 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (90459834)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | グローバル教育 / キャリア教育 / リーガルマインド / 国際私法 / 協働教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、アジア諸国のグローバル都市における工学系高等教育機関のキャリア教育を調査分析し、リーガルマインド育成のための国際私法的視点を踏まえた法教育も取り入れた海外協定校との共同キャリア教育を立ち上げ、アジア基盤の新たなグローバル・エンジニア育成プログラムを開発することを目的としている。昨年度に実施した香港およびシンガポールでのキャリア教育とグローバル教育に関する状況調査アンケートを踏まえ、今年度は同様のアンケートを本校学生121名に対して行った。また、香港で働く日本人に対するアンケートも行い25人から回答を得た。これらの結果を、香港とシンガポールの教員および学生の結果と比較することで、キャリア教育とグローバル教育におけるそれぞれの意識・状況の傾向を把握することができた。これによりプログラムの下地作りの準備が整い、試行に向けてのプログラム案を作成した。このプログラム試案を実施する場として、海外協定校である香港の工学系高等教育機関と連絡を取り合い、実施準備を進めた。9月の学生派遣研修の際に実施することになっていたが、香港の政治的状況悪化のため、派遣研修が中止となり、実施はできなかった。 また、各種アンケート結果に基づく分析について、ISATE(国際工学教育研究集会International Symposium on Advances in Technology)およびCOCET(全国高等専門学校英語教育学会:The Council of College English Teachers)において発表を行い、2本の論文を学会誌に投稿し、掲載された。その他、大学図書館等で東南アジア・東アジアの法、社会、教育に関わる文献リサーチ・閲覧も行い、学会発表や論文執筆の参考とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4月から8月にかけて、昨年度に実施した「香港高等科技教育学院(THEi)」とシンガポールの「ニーアン・ポリテクニック」でのアンケートの集計と確認を共同研究者と共に行い、結果分析を行った。また、それと並行して7月から8月にかけて、学生派遣研修(9月上旬)の際にTHEiで実施するためのプログラム試案を共同研究者と共に作成し、THEiと連絡を取りながら準備を進めた。しかし、香港の政治的状況悪化に伴い、派遣研修が中止となってしまい、プログラム試案の実施はできなかった。 また、香港とシンガポールでのアンケート調査の継続として、8月上旬に本校学生212名への同様のアンケート調査を行った。また10月には、香港和僑会の協力を得て、香港で働く日本人に対するアンケートを行い、25名から回答を得た。これら2つのアンケートについては、11月から3月にかけて、集計と確認、結果分析を共同研究者と共に行った。 香港THEiでのプログラム実施が中止となってしまったことで計画が遅れてしまったが、最終年度の令和2年度で実施するべく準備を進める予定である。ただ、新型コロナウィルスの影響で令和2年度についても9月派遣の中止が決まっていることから、当初の予定とは違う形であっても何らかの形で実施することを検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度に作成したプログラム試案を、さらに詳細な形に体系づけ、実施しやすいものに修正を加える予定である。香港THEiへの派遣研修が令和2年度内に実施できないことになった場合は、本校学生間で実施する機会を検討する。実施した際は、事前と事後アンケートを行い、プログラム内容の妥当性を確認し、改善点についても把握する。また、香港THEiの教員や派遣研修で訪問予定の中国日系企業の方ともプログラム内容とアンケート結果を共有し、改善への意見を収集する。それにより、本校のグローバル教育の一環として継続できるプログラムとする。 また、令和元年度のアンケート調査を踏まえた分析結果について、ISATE(国際工学教育研究集会International Symposium on Advances in Technology)への論文投稿(令和2年6月)を行う。プログラムを実施した場合は、それについても学会発表および論文投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、以下の2点が挙げられる。まず、本校学生へのアンケート実施後に、アルバイトによる集計作業を念頭において人件費を見込んでいたが、集計作業の便宜上、研究代表者および分担者で行うことになったことである。またもう一つは、プログラムを実施する場として予定していた香港THEiへの派遣研修が中止になったことで、旅費等の使用がなくなったことである。 次年度の使用計画として、プログラムの実施にあたり、当初の予定では研究代表者と分担者1名が香港に渡航し実施する予定であったが、万全を期すためにもう一人の分担者も実施に参加することとする。また、研究成果を発表する各種学会参加の旅費や論文投稿費、論文の英語翻訳料が主な使用項目となる。
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