研究課題/領域番号 |
18K18688
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
松井 智子 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (20296792)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 言語発達遅滞 / 経済格差 / 学力格差 |
研究実績の概要 |
本研究は探索的な研究として、「ポピュレーションアプローチ(大規模調査)」ではなく、より規模の小さい「ハイリスクアプローチ」に基づき、言語発達遅滞など、子のリスク要因が確認された2歳から3歳の子を持つハイリスク家庭を対象とした介入研究である。言葉の遅れを主訴として相談に訪れた、子のリスク要因がわかっている母子と、貧困、低学歴に加えて、文化的マイノリティであるため必要な支援を受けにくいなど親のリスク要因がわかっている国内の日系外国人家庭を対象とする。 令和2年度はハイリスク家庭の子どもの家庭での言語使用に関する質問紙調査を実施した。自閉スペクトラム症の幼児は言語発達が遅れがちであると言われるが,個人差が大きいことも知られている。幼児期の言語発達の個人差を調べるために,彼らが話す語彙にどの程度の差があり,語彙の種類による偏りがどれくらいあるかを調べた研究はまだ少ない。本研究では,子どもの表出語彙の種類を因子分析によって類型化し,各類型に属する子どもの語彙発達の特徴を整理することを目指した。特に表出語彙の少ない子どもも含めて類型化することを重視した。このため,本来は適用年齢が36ヶ月までの日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙(小椋ほか,2007 小椋ほか,2016)を,本研究では49ヶ月から70ヶ月の子どもに適用して,表出語彙の少ない子どもの語彙の特徴を探った。因子分析を利用したクラスター分析に基づいて,表出語彙の構成タイプ別に子どもを分類した。その結果,1)名詞も他の語彙もあまり発話しないタイプ,2)名詞も他の語彙も豊富に発話するタイプ,3)名詞を多く発話する一方,他の語の発話は少ないタイプに分けられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、ハイリスク家庭および比較対象群の新たな協力者の母子会話のデータを収集することが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルスの感染拡大が終息しだい、ハイリスク家庭の新たな協力者のデータを収集する。それまでの間は、これまで収集したデータの分析を多角的に行う。日系外国人の母子会話の分析には引き続き母語話者の研究協力を依頼する。さらに比較対象群として、リスクのない家庭を対象とした母子会話データの収集、書き起こしを始める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍でハイリスク家庭と比較対象群の母子会話データを収集することができなかったため、その収集と書き起こし、解析が次年度に残されている。また海外共同研究者との打ち合わせも海外渡航が難しかったために延期になっている。データ収集および書き起こし、解析に必要な研究補助者の謝金、海外渡航を次年度に計画している。
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