研究課題
本研究は探索的な研究として、「ポピュレーションアプローチ(大規模調査)」ではなく、より規模の小さい「ハイリスクアプローチ」に基づき、言語発達遅滞など、子のリスク要因が確認された2歳から3歳の子を持つハイリスク家庭を対象とした介入研究である。言葉の遅れを主訴として相談に訪れた、子のリスク要因がわかっている母子と、貧困、低学歴に加えて、文化的マイノリティであるため必要な支援を受けにくいなど親のリスク要因がわかっている国内の日系外国人家庭を対象とする。令和4年度は,会話認識過程の中では最初期レベルに相当する「音韻知覚」という機能に焦点をしぼり,ASDの診断を受けている子どもを含む6歳から12歳の児童を対象に,情動反応の調整力と音韻知覚の関係を調べた。情動反応の調整力の評価のために日本語版感覚プロファイル質問紙を用いた。音韻知覚能力を評価する課題では,2つの音素から作られた刺激連続体の各トークンを識別させる課題を用いて音韻識別力を評価した。分析の結果,情動反応の調整力と音韻識別力の間に負の相関関係が認められた。つまり,不安を感じやすい児童ほど音韻識別力が低かった。あくまで相関関係であって因果関係を意味する結果ではないが,情動反応の調整が苦手で不安を抱えやすい児童は,会話認識過程の初期レベルである音韻知覚にエラーが生じやすい傾向が示された。
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Neuropsychologia.
巻: Online Publication. ページ: -
10.1016/j.neuropsychologia.2022.108213.