研究課題/領域番号 |
18K18704
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
林 直保子 関西大学, 社会学部, 教授 (00302654)
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研究分担者 |
与謝野 有紀 関西大学, 社会学部, 教授 (00230673)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 信頼 / 信頼性 / 潜在連合テスト / 社会関係資本 / ブランド / ブランディング / 地域文化意識 |
研究実績の概要 |
2021年度は、2020年度が新型コロナウィルスの影響で実験が困難だったため、2020年度に行う予定の実験実施を予定していた。すなわち、2019年度に行った信頼とブランディングに関する理論的検討に基づき、IAT(潜在連合テスト)による潜在的態度の測定と、ジレンマ実験等における行動指標との関連性を検討することを予定していた。しかしながら、2021年度も、新型コロナウィルス変異株の蔓延の影響により、対面実験が不可能であったため、実験の実施を断念せざるを得ない結果となった。そのため、研究計画を修正し、2021年度は、コロナウイルスの影響を受けない方法として、インターネット調査を行うこととした。具体的には、これまでのブランディングに関する理論的検討から、地域文化へのコミットメントが地域の人々への信頼感と相互促進関係を持つことが予想されたため、「大阪府下の信頼感と文化意識に関する調査」を行うこととした。この調査を通じて、大阪独自の文化としての「大阪締め」の認知、大阪、神戸、京都の人々への信頼感など調査した結果、地域文化へのコミットメントが居住地域の人々への信頼感と正の関係を持つ傾向がみられた。ただし、詳細なデータ構造の分析のためには、自己組織化マップなどの分析手法を適用したデータ解析が必要であり、2021年度中にこれらの分析のためのデータ整理などを完遂した。また、本調査結果を基礎として、「協力の他人指向性原理」という理論的検討への展開を図ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス変異株の蔓延の影響により、2021年度に予定したすべての実験が実施できなかったため、インターネット調査を実施したが、いまだ実験研究の実施が課題として残されており、結果、研究に遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
具体的には、本研究で開発された対面型の「音声利用型IAT(潜在連合テスト)」を80名以上の中規模対象に同時に実施できるように改良し、一般的信頼尺度などの既存の顕在指標との間の関係を明確にできるようにする。さらに、「協力の他人指向性原理」についての2021年度の理論的研究成果にもとづき、n人PDゲーム実験、委任分配実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス変異株の蔓延にともない、学生を実験参加者とする対面での実験実施が困難となったため、次年度使用の必要額が生じた。当初の実験計画を改良し、80名以上の中規模対象に一括して行うような実験を2022年度に新規に実施予定である。また、2021年度に行ったインターネット調査の結果を基礎とした「協力の他人指向性原理」の実証的研究を行い、学会等で成果報告を行う。
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