研究課題/領域番号 |
18K18707
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿部 紀行 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (00553629)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | p進群 / 超特異表現 |
研究実績の概要 |
本研究における対象はp進群の法p表現である.この法p表現を調べることで,特に法p局所Langlands対応へと貢献を行うことが大きな目的である.法p表現の中でも,いまだに殆ど理解が進んでいない超特異表現について理解を深めることを目標としている. p進群の法p表現の重要な不変量としてHecke固有値がある.これはおおまかにはいくつかの数の組であるが,そのHecke固有値にゼロが多く「特異的である」表現を超特異表現と呼ぶ.Barthel-Livneに始まり,私とFlorian Herzig,Guy Henniart,Marie-France Vignerasとの共同研究により一般の既約許容表現の分類は超特異既約許容表現のそれに帰着されることが示されている.よって,超特異表現を調べることは法p表現全体の理解へとつながる. p進簡約群とそのスペシャルパラホリック部分群KおよびKの既約表現Vがあると,Gの既約許容表現に対してHecke固有値を定めることができる.Paskunasらの研究を見る限りでは,超特異表現についてはHecke固有値だけではなくV自身を理解することが重要であると思われる.ところで,(Kが適当な条件を満たせば)Vは正標数の体上の簡約群の代数的な表現から来る.したがって,そのような表現を理解することが重要になる. 昨年度は,そのFrobenius核の表現圏にHecke圏の作用を定義することに成功した.その際には,Frobenius核の表現圏の新たな実現が重要であった.今年度はその新たな実現に基づきさらに深い構造を調べることを試みた.低ランクの場合に興味深い現象が観察されるなどしたが,まとまった結果を得ることはできなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に得られた実現は,表現論における細かな構造を見るのに都合がよいと思われる.そのため新たな結果が得られると期待できるが,実際にまとまった結果を得ることはできなかった.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き昨年度に得られた新たな実現に基づき表現圏を調べていく.主にKoszul双対性の観点から調べる.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによる制限などのために研究集会への参加などが難しくなり,必要な情報収集が行えず研究の進行が遅れている.次年度に制限が解除され次第旅費として活用する予定である.
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