研究課題/領域番号 |
18K18708
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮本 雅彦 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (30125356)
|
研究分担者 |
千吉良 直紀 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (40292073)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
|
キーワード | 有限群 / 表現論 / 頂点作用素代数 / 正則頂点作用素代数 / 自己同型群 / ウエイト1空間 / リーチ格子 / リー代数 |
研究実績の概要 |
有限群の表現論を拡張するために、群とそれを自己同型群としてもつ頂点作用素代数の組を考え、その加群への表現を群の作用と頂点作用素代数の元の作用を同時に考えて、より深い情報を得た。今回の結果では、ランク24のリーチ格子による格子頂点作用素代数を中心として、リーチ格子の自己同型群であり、有限散在型単純群の一つであるコンウエイ群 Co.0 を利用して、中心電荷24の正則頂点作用素代数の分類、および正則頂点作用素代数の相互間の関係を調べた。個々の正則頂点作用素代数から直接的にリーチ格子頂点作用素代数への軌道構成が存在することは、数論的な計算によって証明されているが、構造に関する情報は非常にすくなかった。そこで、まず第一として、非アベール型のウエイト1空間を持つ正則頂点作用素代数のリー代数構造を持つウエイト1の空間から得られるW-元と呼ばれる特別な元を利用して、その軌道理論構成では常にリーチ格子頂点作用素代数が構成できることをローレンティアン頂点作用素代数を利用して分かり易く証明した。この証明には、コンウエイ群の部分群の表現が重要な働きをしており、一般的な表現論が各元の指標によって与えられている点と比べて、本研究では、それらの情報以外にも2元生成の部分群の表現論も加えるという点で、本研究が目的とする群の表現論の拡張に近い論法を利用している。また、格子を2次元拡張して、ローレンティアン格子を利用することにより、コンウエイ群以外にも、2次元部分の情報を加味するという方法を利用している。ローレンティアン格子で考えることにより、多くの部分が自然な形になっている点はこれらの論法を考える理由の一つである。 第二に、そのW元の倍数による軌道理論を考えることにより、リーチ格子頂点作用素代数へ行く色々な道順の途中結果として多くの正則頂点作用素代数間の関係が見ることが出来た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の中盤以降、コロナ等により予定されていた研究研究集会が開催されず、予定していた出張および招聘ができなくなったので、当初計画通りには進展していなかったが、期間を延長し、オンラインセミナーを活用し、また徐々に研究集会等の開催もはじまっているので、現在では当初計画のかなりの部分を終了している。それゆえ本年度をもって最終段階に進むめどがついてきたので、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
格子の自己同型群を利用した今回の研究を参考にし、今回の可換な自己同型の対を同時に扱う代わりに、自己同型と格子の特別な元との対を考察してみた。例えば、1つの自己同型とそれによって不変は深洞の対を考えると、非常に分かり易い群の元として定義されている一般深洞通常を完全に説明できるのではと推察される。それゆえ、通常の深洞と同様に幾何的、格子理論の立場から説明したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ等で予定されていた研究集会が中止になり、出張や招聘ができなくなったことに加え、それに伴う経費や謝金の未使用が生じたため。
|