研究課題/領域番号 |
18K18711
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
落合 理 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (90372606)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 岩澤理論 / 肥田理論 / p進L関数 / Euler系 / p進モジュラー形式 |
研究実績の概要 |
今年度は特に次の計画を中心に研究活動を進めた. (I) Eisenstein級数のp進変形族とp進L関数, (II) 新しいEuler系の構成の探求, (III) CM体 における多変数岩澤理論や非可換岩澤理論, (VI) non-ordinaryなp進変形族のp進L関数の構成とその応用 (I)に関しては, 昨年度に引き続いてHarrisやSkinnerらによる総実代数体上のユニタリ群のEisenstein級数のp進変形族を考察した. (II)に関しては, 共同研究者であるFrancesco Lemma氏とともに特にlocal system がconstantとなる一番低いcohomological weightの場合にexplicit reciprocity lawの研究を進めた. (III)に関しては, CM体の非可換岩澤理論 については共同研究者の原氏と共に, CM体の絶対ガロワ群のArtin表現に付随するp進L関数の構成と岩澤主予想の証明の細部を詰めながら論文の執筆を進めた. (VI)に関しては, 応用を考えている形でPerrin-RIouやAmice-Veluによる古典的な結果の使いにくい点が気になりadmissible measureの理論の再構成を追求した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度もコロナの状況が長引いて直接会って対面で議論できない状況が続いた. 対面での研究を同じペースを得る根本的な解決策はなく研究ペースが回復できなかったことは否めない. それでも, 特に(III)の国内共同研究に限っては何度かの対面の議論やメール等のやり取りによって論文の執筆をかなり進めることができた. また, (VI)の研究ではPerrin-RIouやAmice-Veluによるadmissible measureの理論の再構成を追求し以前より理解を深めたが当初目論みた形での再構成にはまだ至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
来年度は, 今年度の(I)から(IV)の共同研究を少しでも進めることがまず最初の課題である. (III)の研究では,昨年度に大幅に進めることができた CM体の絶対ガロワ群のArtin表現に付随したp進L関数の構成と岩澤主予想の論文の完成を目指したい. (II)については昨年度に進展したlocal system がconstantとなる場合のexplicit reciprocity lawの証明を再度慎重にチェックして大丈夫ならば論文の執筆を進めたい. (VI)の研究においては, admissible measureの理論の再構成をもう少し追求するとともに元々取り組んでいたnon-ordinaryなp進変形族に対する三重積p進L関数の研究の問題に戻りたい. また, 上にあげた(I)から(IV)以外にもコロナで直接議論することができず今年度は滞ってしまった海外共同研究者との共同プロジェクトがある. Jha氏との非可換な岩澤理論における関数等式の研究, Buyukboduk氏とのp進Beilinson予想に関する共同研究は本年度はコロナの状況でほとんど進められなかった. コロナの状況の収束に応じて研究を軌道に戻していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の状況により共同研究や研究集会など当初の予定通りに実行できない事態が継続してしまった. 研究計画の一部は次年度に持ち越し実行することとした.
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