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2022 年度 実績報告書

Holomorphic motionの一般化に見る複素多様体論の新たな視点

研究課題

研究課題/領域番号 18K18717
研究機関京都産業大学

研究代表者

志賀 啓成  京都産業大学, 理学部, 教授 (10154189)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2023-03-31
キーワードHolomorphic motion / 擬等角写像
研究実績の概要

正則運動はリーマン球面上の集合の単射写像のある複素多様体をパラメーター空間とする正則族として定義される。これは、複素力学系におけるJulia集合の安定性の議論で導入されたもので、当初から擬等角写像と強い結びつきがあったものである。さらにBers-Roydenの定理もしくはその一般化から、パラメーター空間の各点のある近傍に制限すればそれはリーマン球面全体の正則運動として表現されるこ とが知られている。特にパラメーター空間が複素平面上の単位円板であるときには、Slodkowskiの定理から単位円板全体をパラメーター空間とするリーマン球面の正則族として表現される。
本年度では、一般化されたカントール集合が擬等角同値な場合にその最大歪曲度を評価した。異なるカントール集合でも,擬等角同値であれば、その二つのカントール集合の間には全平面の正則運動が存在することを示しており、この分野に新たな研究道具を与えるものになっている。特に、ショットキー群の極限集合と双曲複素力学系のジュリア集合の間の擬等角同値性は無限型 Riemann面の間の正則運動にも繋がり、今後の進展が見込まれると考えている。さらに、一般化されたカントール集合が標準的 な3分の1カントール集合と擬等角同値になるための必要十分条件を与えることに成功した。この条件は,記号力学系からも興味ある条件となっているため、今後 関連研究が進むと期待している。このような研究の過程で「一様領域」との強い関連性が発見された。このことも新たな研究の方向性が得られたものと認識している。また、双曲計量の変分問題との関連から、擬等角写像に関するある極値問題を考察した。そこで用いた手法は従来のものとは異なる新しいもので今後のお用を期待している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] On the quasiconformal equivalence of dynamical Cantor sets2022

    • 著者名/発表者名
      Shiga Hiroshige
    • 雑誌名

      Journal d'Analyse Mathematique

      巻: 147 ページ: 1~28

    • DOI

      10.1007/s11854-022-0214-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Quasiconformal mappings and hyperbolic geometry2023

    • 著者名/発表者名
      志賀 啓成
    • 学会等名
      Workshop: Quasiconformal mappings, hyperbolic geometry and Riemann surfaces
  • [学会発表] Open Riemann surfacesのトリセツ2022

    • 著者名/発表者名
      志賀 啓成
    • 学会等名
      第56回函数論サマーセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Quasicircles and Dirichlet finite harmonic functions on open Riemann surfaces2022

    • 著者名/発表者名
      志賀 啓成
    • 学会等名
      The POSTECH Conference 2022 on Complex Geometry
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Quasiconformal mappings and quasicircles on open Riemann surfaces2022

    • 著者名/発表者名
      志賀 啓成
    • 学会等名
      Conference in honor of the 65th birthday of Athanase Papadopoulos
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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