研究課題/領域番号 |
18K18722
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石井 豊 九州大学, 数理学研究院, 教授 (20304727)
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研究分担者 |
稲生 啓行 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00362434)
荒井 迅 中部大学, 創発学術院, 教授 (80362432)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / Polyvision / 4次元可視化 / ジュリア集合 |
研究実績の概要 |
今年度は、東京大学情報理工学の廣瀬通孝、松本啓吾、小川奈美、京都大学数学の稲生啓行、九州大学 IMI の鍛冶静夫とともに、バーチャルリアリティを用いた Polyvision という4次元可視化のデバイスを開発した。これは4次元空間内にある数学的対象を4つの座標軸に沿って4つの3次元バーチャル空間内に射影し、それらの3次元像を拡大・縮小や回転することでもとの4次元対象物の運動を同時に多方向から可視化出来るようにしたものである。この Polyvision を用いると、正多胞体、クラインの壷、射影平面、ジュリア集合などの数学的な対象を観察できるだけでなく、一見ランダムな4次元データセットにおいて特有の幾何的構造が発見できる可能性を与えてくれる。このデバイスはコンピュータ・グラフィックスにおける著名な国際会議である SIGGRAPH Asia Brisbane 2019 の Emerging Technologies 部門に採択され、その会場でデモ展示を行い、でも体験者から多くの有益なフィードバックを得た。現在はそのフィードバックをもとに Polyvision の画像表示の方法を改良中である。 また、この研究の次のステップとしては、Polyvision を用いることで4次元の空間認識力がどの程度向上したかを定量的に評価することである。そのために今年度の最後の数ヶ月は、定量的評価に向けた心理実験をどのようにデザインするかについていくつかのアイデアを出し合った。この詳細を詰め、さらに実験を行うことは最終年度の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の最大の成果は、4次元空間を可視化するためのデバイスである Polyvision を完成し、さらにそれがコンピュータ・グラフィックスにおける著名な国際会議である SIGGRAPH Asia Brisbane 2019 の Emerging Technologies 部門に採択され、その会場でデモ展示を行い、でも体験者から多くの有益なフィードバックを得たことである。これについては当初の予定を超える成果であった。このため、最終年度に空間認知力の向上度を定量的に評価するための心理実験まで進められそうである。 また、その一方で石井と稲生は、両眼視差と運動視差を同時に用いて4次元空間を可視化するアルゴリズムをデモ実装した。こちらはまだ具体的な展示・出版には至っておらず、当初の予定よりはやや進展が遅れている。しかしこのデモに基づき、心理学や視覚の専門家と議論を行うことが出来、今後の研究の方向性がより明確になった。 以上から、全体としては本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
この研究の今後の課題は、Polyvision を用いることで4次元の空間認識力がどの程度向上したかを定量的に評価することである。そこでまず、定量的評価に向けた心理実験のデザインのアイデアを出し合い、さらにその詳細を詰めることが第一の課題となる。次に、実際に実験の被験者を募集して Polyvision を用いたデータの収集を行う。この際、そもそも4次元空間の定義そのものが一般的には抽象的かつ困難な概念であるため、被験者の層をどのように設定するか(数学科の学生のみ、数学に限らず理系大学生、一般の大学生)が実験結果を非自明なものにするために重要な鍵となるであろう。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年の3月に4次元可視化を主題にした研究集会を計画しており、その招待後援者の旅費(海外1名、国内3名)を補助する予定であった。しかし新型肺炎の影響のため研究集会はキャンセルとなり、そのために次年度使用額が生じた。
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