固体内で原子が2量体(ダイマー)を形成する際に、格子変形と同時に電子の局在化が起こり、金属から絶縁体に転移する物質群が複数報告されている。ダイマーは原子間に分子軌道がつくられるため、固体中での分子と見なすことができる。VO2は代表的なダイマー結晶であり、スピン制御によって分子軌道が抑制されれば、絶縁体から金属に変化が期待される。本研究では、VO2にWをドープすると分子軌道の安定性をコントロールできることに着目し、540 Tまでの超強磁場下での化学的カタストロフィー(CC)機構の有無について調べた。その結果、W6%の結晶で金属絶縁体転移を見出し、500 TでCC機構が生じることを発見した。
|