生物の分子機能を考える上で、多くの場合、水分子の熱運動は均質なものとして捉えられてきた。しかし、生体高分子表面の水分子集団の熱運動は、均質ではない。生体高分子の特性を反映した形で不均質になる。その不均質性は、熱運動を利用しながら正確な分子機能を生み出す酵素反応機構と深く関わっている。不均質性の微視的詳細を明らかにし、それを生物学的理解に結びつける新しいアプローチが必要になる。本研究は、生体試料にTHz波を照射し、その応答を構造ダイナミクス・化学反応など複数の指標で調べるアプローチを構築した。水運動の不均質性を加味した形で正確な酵素反応機構の記述を深め、今後のTHz波制御の可能性を明確にした。
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