研究課題
本研究課題は薄膜や表面・界面で生じる2次元超伝導に関して、水素修飾を行うことで転移温度を上昇させようという試みである。まずは2次元超伝導に関して作製と評価を行った。舞台はグラフェンにCaをインターカレートしたものやFeSe系の原子層超伝導などである。試料作製に関しても容易ではなく、安定して超伝導を発現させるのに必要な条件探索も行った。またFeSeについては均一性の高い薄膜作製が難易度が高く苦労した。作製した超伝導に対して水素修飾を安定的に行い系統的なデータを測定するところまでは至らなかったが、超伝導の機構解明について重要な手がかりを得ることができた。たとえばCaインターカレートグラフェンにおいては、バンド構造とCaが入る原子位置などの情報を、角度分解光電子分光やSTM、電気伝導を用いて相補的に解析したところ、グラフェン層間に入りファンホーべ特異点というバンドが関与している可能性を突き止めた。その影響で、転移温度が伝導度と単純な関係ではなく、ドーム型の形状をとり、非従来型超伝導発現の可能性を示唆した。最終年度はトポロジカル超伝導体であるFe(Se,Te)にも手を広げ、それに対して超高真空中で水素やアルカリ金属を修飾して電気特性の変化が現れるかを調べ始めた。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Vacuum and Surface Science
巻: 66 ページ: 28~33
10.1380/vss.66.28
ACS Nano
巻: 16 ページ: 3582~3592
10.1021/acsnano.1c11161
Nano Letters
巻: 22 ページ: 881~887
10.1021/acs.nanolett.1c02952
The Journal of Physical Chemistry Letters
巻: 13 ページ: 8228~8235
10.1021/acs.jpclett.2c01478
巻: 65 ページ: 405~410
10.1380/vss.65.405
https://researchmap.jp/rakiyama
http://www-surface.phys.s.u-tokyo.ac.jp/