研究課題
軽元素は電子数が少ないため、回折やXAFSで原子構造を得ることは難しく、現在、物質の原子配列の研究で最も大きな課題である。ホログラフィー法は、特定元素のまわりの局所構造を、特定のモデルなしに3次元原子イメージとして描き出す。本研究では、ホログラフィー法を軟X線や真空紫外線に検出領域を広げ、軽元素のまわりの3次元局所原子イメージを構築する。この研究により、Li電池、GaN半導体など軽元素を含む機能性材料を対象として、軽元素のまわりのクラスター 形成や格子ひずみなど、材料の3次元的な特徴を描き出し、物性との関連を詳しく明らかにする。平成30年度には、すでに獲得していた別予算により真空容器を整備するとともに、検出系の具体的な考案、設計を行い、令和元年度には発注して完成させた。完成した真空容器に、同じ別予算で購入しておいた軟X線検出器を接続するとともに、試料周辺の部品を設計し、測定のテストの準備を行った。軟X線のみを選別し検出効率を増すための湾曲型ミラーは、設計し業者と相談の上、すでに発注し、遅くとも令和2年6月末には納品の予定である。令和2年度には、今後9月頃に制作した測定装置を九州シンクロトロン光研究センターへ持ち込み、動作テストを行う予定である。テストが成功すれば、SPring-8を利用して当初の目的どおり、GaNのNのまわりの原子構造およびその位置ゆらぎについて、これまでの回折やXAFS実験から得られなかった実験結果に挑戦する。
2: おおむね順調に進展している
コロナの影響で、湾曲ミラーの納入が遅れ、放射光施設でのテストの日程がまだ決定できないが、装置関係開発は概ね順調に進行している。
令和2年度には検出系の最終的な整備を行い、放射光源を用いた動作テストを行う。テストが成功すれば、次に当初の目的どおり、GaNのNのまわりの原子構造およびその位置ゆらぎについて、これまでの回折やXAFS実験から得られなかった実験結果に挑戦する。
開発計画の経緯とコロナの影響で、湾曲ミラーが納入されなかった。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 6件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (36件) (うち国際学会 20件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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