研究課題/領域番号 |
18K18748
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
星野 真弘 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90241257)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 磁気リコネクション / 非中性プラズマ / プラズマ加熱 / 粒子加速 / プラズマ不安定 / パルサー磁気圏 / ドリフトキンク不安定 |
研究実績の概要 |
本課題の研究目標は非中性プラズマシートでのプラズマ不安定性とその電磁場のエネルギー解放率について明らかにすることである。そのために本年度は、まず電子とイオンの電荷密度がことなる非中性プラズマシートの平衡解について検討を行った。従来の準中性プラズマでの平衡解はハリス解として知られているが、それを非中性プラズマシートへと拡張することから始めた。非中性プラズマシートでの平衡解では静電場と釣り合う電磁場以外の力が必要となるが、今回は問題を簡単化するために、外力としての「重力」を加えることにした。更に「重力」はプラズマシートからの距離の関数としてtanh型を仮定することにした。またプラズマの組成については、パルサー磁気圏の相対論的高温プラズマをターゲットにおいているので、当面は電子と陽電子プラズマについて調べていくことにした。 そして次に、上記の平衡解の下でプラズマ第一原理に基づく空間2次元・速度空間3次元の粒子コード(Particle-in-cell)のシミュレーションを行い非線形時間発展を調べた。特にリコネクションとドリフト・キンク不安定の両者の異なるモードについて、従来の準中性プラズマシートと非中性プラズマシートとで、エネルギー解放率がどの程度修正されるかについて調べた。まだ初期結果ではあるが、リコネクションとドリフト・キンク不安定では、大局的な非中性プラズマによる成長および抑制効果(エネルギー解放率へのフィードバック)が異なることわかりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標は、非中性プラズマシートでの平衡解を求めることであったが、簡便な方法として外力としての重力を導入することで、粒子シミュレーションで非線形時間発展を調べることに成功した。この初期条件を用いることで、本年度は予定通りに、磁気リコネクションのエネルギー解放率が非中性プラズマシートによる効果でどの程度修正されるかが議論できる段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに、粒子シミュレーションを実施し、非中性プラズマシートでの非線形時間発展を調べることにしている。また磁気リコネクションだけでなくドリフト・キンク不安定についてもあわえて調べることにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初新規購入を予定していた高機能デスクトップPCが、他の予算品目で購入したノートPCでもおおむね研究遂行が可能であることがわかり、現在のデスクトップPCを暫く使い続けることにしたため、 また計算機使用料についても、情報基盤センターの初年度トライアルユースに申し込むことで大幅に使用額を抑えることができたため。
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