研究課題
本研究は、極性分子中での有効電場が格段に高いことに着目し、極性分子を生成・レーザー冷却・真空中にトラップし、長い相互作用 時間を実現することで、EDM測定精度の向上を目指す。特に、電子EDM増幅度が高い重元素を構成要素にもつRI分子:Fr-Srを測定対象としている。この実現に は、FrとSrの個々の原子をレーザー冷却・トラップし、フェッシュバッハ共鳴により冷却原子同士を融合させ、冷却分子生成・トラップを行う必要がある。その心臓部は、大強度のレーザー冷却Fr源である。今回、AVFサイクロトロンから供給される18Oビームを用いた核融合反応197Au(18O,xn)215-xFrによりFr生成・引き出しの際、標的と電気的・熱的接触を行わずに、赤外線ヒーターと一次ビームによる非接触加熱による温度制御を実現し、放電やリーク電流増加による引出し効率悪化が全くない210Frビーム(~107個/s)の長期安定供給に成功した。本年度に実施したFr生成実験で、国内最大収量のFr生成(~107Fr+/s)に成功し、世界最高水準のFr引出し効率(~20%)を実現した。さらに、磁気光学トラップの光源の立ち上げを進め、高精度波長計を用いた周 波数安定化を進めた。Srの冷却・トラップは、すでに完了し、Frと化学的性質が類似している安定原子Rbを用いたRb-Sr共存MOTは実現している。さらに、加速器オンラインで生成する210Frとともに、加速器を運転せずに、オフラインでの分子生成実験ができるよう、10日間の半減期をもつ221Frのgenerator:225Acの生成技術の開発を進め、AVFサイクロトロンの垂直照射ビームラインを整備し、226Ra標的照射装置を開発した。以上、2つのFrの同位体で、オンライン・オフラインでFr-Sr分子EDM探索に必要な冷却Fr-Sr共存トラップの技術は、予定通り確立した。
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AIP Conference Proceedings
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