研究課題/領域番号 |
18K18768
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
身内 賢太朗 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (80362440)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 暗黒物質 |
研究実績の概要 |
暗黒物質直接探索は、液体キセノンを用いた実験が感度を飛躍的に向上させている。一方、スピンに依存した反応に注目するとキセノンよりもフッ素が有利に働き、PICOと呼ばれるフッ素を含むバブルチェンバー(エネルギー情報を取得できない閾値型検出器)を用いた実験も感度をのばしている。知名度としては液体キセノンを用いた実験が上だが、数年以内にPICO実験によって暗黒物質発見の示唆がなされる可能性もある。こうした場合には、フッ素を含み、エネルギー情報を取得可能な実験による検証が必要であるが、現在こうした検出器の開発は世界的に行われていない。本提案は、気体として発光及び電離電子の検出が実証されているCF4ガスを液化し、大質量検出器として用いるための基礎研究を行う。キセノンの例では液化による発光量の変化はないなど、液化CF4が検出器として動作する可能性は十分ある一方で、検出器としての性能評価が行われていない、萌芽的な研究である。 本研究では、フッ素を含む大質量検出器の有力な材料として液化CF4(沸点145K)に着目、その性質を研究する。液体希ガス検出器としてキセノン(沸点165K)が用いられているが、CF4に関しては検出器としての性能はこれまで調べられていない。本研究では、過去に報告のない液化CF4の発光量を測定することを第一の目的とする。平成30年度には、この測定のために、光電子増倍管を2ケ用いた実験装置を組み、実際にLEDからの信号を取得可能であることを確認した。連携研究者の田中氏、関谷氏の助言を受けて実験装置の設計を行った結果、冷凍機を用いたシステムを構築することが安定した測定のために有用であるという結論に至り、冷凍機を用いたシステムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験装置の構築などが順調に進み、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
連携研究者など、専門知識を有する研究者との連絡を取りながら目的達成に向けて研究を着実に推進してゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
装置設計の結果、次年度に実施する装置応答試験を反映した最適な構造とすることが良いという結論が得られたため、装置内部の微小な部分に相当する額を次年度使用とした。
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