研究課題/領域番号 |
18K18785
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
堀川 恵司 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (40467858)
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研究分担者 |
若木 重行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 技術研究員 (50548188)
宮崎 隆 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 主任技術研究員 (80371722)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | バリウム同位体 / 海水 / 氷床融解 / 炭酸塩 / アラスカ湾 / 南極アムンゼン湾 |
研究実績の概要 |
本申請研究は,アラスカ湾と西南極アムンゼン湾において,Ba安定同位体-塩分計を初めて構築し,これらの海域で採取された堆積物試料中の有孔虫殻や貝骨格のBa安定同位体比分析から,過去の「海洋表層塩分の推定」・「融氷イベントの特定」・「融氷規模の推定」を試みることを目的としている. 研究初年度と2年度の研究を通して以下の成果を得た.1)海水試料・炭酸塩試料から,Sr樹脂カラムを用い,概ね低ブランク・低マトリックスになるバリウム単離法を構築した.2)134Ba-136BaダブルスパイクTIMSバリウム同位体比分析を構築し,±0.02以下(2SD)の精度で138/134Ba安定同位体比の測定を行えるようになった.3)バリウム同位体比分析に使う標準物質にロット間の均一性が担保されていることをオックスフォード大学と標準物質の共有を行ない分析することで確認した.4)構築したバリウム単離法を用い,東シナ海,アラスカ湾,西太平洋,南極海アムンゼン湾沖などで採取された海水試料(約150試料)のバリウム安定同位体比の分析を行なった.5)東シナ海でBa安定同位体-塩分換算式を初めて構築し,ECSで採取された堆積物試料中の貝骨格のBa安定同位体比分析から,過去の「海洋表層塩分の推定」が行えることを示した.6)アラスカ湾においては,低塩分の沿岸水のデータが少なかったため,Ba安定同位体-塩分換算式の評価が十分に行えなかった.しかし,堆積物中の有孔虫殻のBa同位体比の測定を行い,塩分換算式が構築できれば,塩分推定が行える可能性があることが明らかになった.7)助成期間中に得られた成果の一部は,2020年7月のゴールドシュミット国際会議で発表する予定である.
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