燃料電池の電極反応プロセスなどのように界面における化学反応プロセスは微細構造の影響を強く受けることが指摘されている。また、材料の破壊を支配するき裂進展問題においても、き裂先端での化学反応が無視できない影響を及ぼすことがある。このように化学反応過程を原子レベルで追跡できるシミュレーション技術が強く求められており、化学反応現象を分子・原子れべるから明らかにするための、第一原理計算のような極めて高コストな解析手法に替わるアプローチが求められている。 本課題では、原子モデリングの枠組みで化学反応を記述する反応分子動力学法を実行するために必須となる反応力場(原子間ポテンシャル関数)の構築を、機械学習技術を取り入れることによって格段に効率化・簡単化するポテンシャルフィッティング自動化アルゴリズムを構築した。フィッティングのターゲットとなるリファレンス構造群を設定し、フィッティングしたポテンシャル性能スコアを評価することでリファレンス構造群を更新するアルゴリズムを作成した。これを非反応型ポテンシャルでテストしロバスト性を確認したのち、ReaxFF型の反応力場に適用してテストした。固体酸化物形燃料電池電極材の微小構造形成プロセスとして重要な酸化ニッケルの還元問題のための力場構築にこのアルゴリズムを適用し、従来の力場でできなかった融点の高精度な再現を達成し、高温での還元反応過程のシミュレーションを正しく行える力場構築に成功した。
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