本研究では、従来にない全く新規な測定原理を提案・確立し、従来精度を遥かに上回る1 mm以下のマイクロ球径を10 nm以下の測定不確かさで計測・評価可能な標準計測技術の構築を目指している。本研究では、Whispering gallery mode共振を用いて手法を提案している。本研究課題では、まず、直径計測を行いその性能について評価した。構築したシステムを用いて、複数のWGM共振波長を測定した。提案している手法を用いて、それらの波長からモード解析を行った。その推定精度に関して、SEMによる直径計測結果と比較した結果、少なくとも±2程度の精度でのモード推定が確かめられた。これ以上の精度の比較を行うためには、より良い比較手法が必要となる。そこで、モード推定の精度をより確かめるため、WGM光強度の直接計測を検討した。WGMは共振現象であるため、電場のセンシングが難しい。そこで、SNOMプローブの検出特性について評価を行なった。散乱型プローブを想定し、解析を行なった。結果、WGMの表面電場は近接場のためプローブを接近させなければ、計測を行うことは難しい。一方で、接近させすぎると共振状態を崩してしまうことになり、結果、電場が下がり測定が難しくなる。その適切な距離を探索した。結果として、0.3 μm程度プローブを離した距離が最適であった。つまり、実際の測定では、プローブの走査を行いながら接近させ、最適な距離を推定したのちに、計測を実施する必要があることがわかった。
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