スラリーレスECMPをスライスウェハに適用し、酸化電流密度と研磨運動パターンを制御することで、スライスウェハ表面のソーマークを全て除去して表面の平坦化を実現し、1 nmオーダの表面粗さを得るとともに、23 μm/hの非常に高い材料除去率を達成した。さらに研磨運動パターンを最適化することで、Sq表面粗さ0.397 nmが得られ、スラリーレスECMPによる平坦化と平滑化を確認した。また、共焦点型ラマン顕微鏡を用いて、スラリーレスECMPによりダメージフリー研磨が実現できたことも確認した。SiCの陽極酸化と酸化電位の関係より、粗ECMPと仕上げECMPから成る複合プロセスを提案した。粗ECMPは高い電流密度またはSiC表面の不働態電位より高い電位を用いてSiC表面を高速に研磨する。仕上げECMPでは、SiC表面の不働態電位または不働態電位より低い電位を用いて粗ECMPで得た表面を仕上げる。10 mA/cm2の電流密度を用いた粗ECMP後の表面に残存する微小な突起構造を、不働態電位である3 Vの電位を用いた仕上げECMPで除去し、ステップテラス構造が観察される表面が得られ、提案した複合プロセスの有効性を実証した。
|