健康な場合,食後に大腸の腸管運動が活発になるが,便通に症状がある患者では,腸管運動に変化が生じていない.大腸の腸管運動には,順行性の運動と逆行性の運動がある.このうち逆行性の運動は直腸への便の輸送を制御していると考えられている.これが「Rectosigmoid brake」と呼ばれる概念であるがその実体は十分明らかでなかった.オークランド大学の電気生理学解析により,結腸と直腸のジャンクションの領域において,直腸S状部を起源とする逆行性の運動が発生していることが分かってきた.本研究では,この現象を数値解析するため,世界で初となる実形状の大腸に対する内容物輸送の計算モデルを開発した.
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