研究課題/領域番号 |
18K18820
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
早川 晃弘 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (90709156)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | LITGS / 流速計測 / レーザー計測 / 定量計測 |
研究実績の概要 |
流体の非接触(レーザー)流速計測手法として,PIVやLDVが広く用いられている.これらの計測法では,流れの中に粒子を添加し,そこにレーザー光を照射することで,粒子からの散乱光を計測する.そのため,粒子を添加することができない計測対象に対しては計測を行うことができない点や,観測窓の汚れなどにより計測が困難となる点が課題となる.そこで本研究では,LITGS(Laser Induced Thermal Grating Spectroscopy)を用いて,非接触で流速計測を行う手法の確立と,多様な流れ場に対して適用することを目的としている.LITGSでは計測対象に,入射するレーザー光(ポンプ光)で励起可能な化学種が存在していれば信号を取得することができるため,トレーサ粒子を添加する必要がない.またポンプ光によって励起可能であれば気体をトレーサとして用いることができるので,流速計測に際して粒子添加に起因していた課題が生じない. 2020年度は実験装置および光学系の改善を行った.アセトン流量をマスフローコントローラによって制御し,これを気化器で蒸発させたものに空気を混合することで,幅広い流速条件に対してアセトン蒸気/空気予混合気を形成することができるようになった.またLITGS信号のドップラーシフトを検出するために,ヘテロダイン検出法を行うための光学系を構築した.この装置を用いてアセトン蒸気を励起化学種とする流速計測を試みたが,LITGS信号のドップラーシフトは検出できなかった.これはプローブレーザーとして利用している連続発振レーザー光の線幅が広かったためであると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は,まず様々な流速条件において励起化学種濃度が制御可能な噴流が形成できる噴流装置を構成した.大気圧・室温環境下においてLITGS信号を取得することができるアセトン蒸気を励起化学種として用いた.昨年度まではタンクの中に充填された液体のアセトン中に空気を通すことで飽和蒸気圧のアセトンを気流に添加していた.この系では設定する気流流速条件によって空気がタンク内を通過する時間が変化することやタンク内の温度が変化することといった理由により,計測対象であるアセトン蒸気/空気予混合気におけるアセトン蒸気濃度が厳密に制御できない可能性が考えられた.このような励起対象の化学種濃度の変化はLITGS信号にも影響を及ぼすものと考えられる. そこで本年度は,マスフローコントローラで流量制御したアセトンを気化器で加熱することでアセトン蒸気として,これを空気と混合させて混合気を形成する方法をとった.これによって噴流流速が200 m/s程度までのアセトン蒸気/空気混合気の気流を形成することができるようになった.また光学系の見直しを行った.LITGS信号のドップラーシフトを検出するために,ヘテロダイン検出法を試みた.ドップラーシフトした信号光と参照光を干渉させ,その信号の周波数からドップラーシフトを検出することができる.さらに光電子増倍管に導かれる光量が大きくなりすぎないように,複数枚のNDフィルターやオプティカルチョッパーを導入した. このような噴流実験系および光学系を用いて信号の検出を試みたが,ドップラーシフトを検出することはできなかった.これはプローブ光に用いているレーザー光の線幅が広く干渉性に欠けることが原因として考えられる. 以上を総合的に評価し,進捗はやや遅れていると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
LITGS信号のドップラーシフトが検出できない理由として,プローブビームとして使用している連続発振レーザーの線幅が非常に広く,ドップラーシフトによる周波数変化が検出できなかったことが考えられる.そこで2021年度は,現在用いている半導体レーザーより線幅の狭いアルゴンイオンレーザーをプローブレーザーとして利用することを試みる.バンドパスフィルター等一部変更は必要であるが,基本的な光学系は2020年度に構築したものを用いることができる.この光学系から得られた信号を,FFTによる信号解析プログラムを用いて解析することでドップラーシフトを検出する.これらを,アセトン蒸気/空気噴流に対して適用する.最終的には燃焼場に対して流速計測を適用する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響による実験計画の遅れにより研究期間を延長したため.
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