研究課題/領域番号 |
18K18821
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 岳彦 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (10302225)
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研究分担者 |
上原 聡司 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (70742394)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 気泡 / 帯電 / 圧縮 / X線 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,キャビテーション気泡の膨張・収縮過程において気泡内に放電し帯電させ,崩壊圧縮時に形成される高電界により加速された電子を気泡内の金属ターゲットに衝突させX線を発生させる革新的な極微小X線点源の原理を提案し実証することにある. 平成30年度に実施した内容は以下の通りである.①レーザ誘起気泡を絶縁性液体中に発生させ,最大気泡径時に放電する装置を設計・作製した.集光の効率を高めるため,レンズは容器に装着し,絶縁油と直接接触させるようにした.動粘度 1×10^-6 m^2/sの絶縁油を用い,屈折率に合わせ集光レンズの焦点距離を決定し,レンズの位置を前後に移動出来る機構を設けた.なお,帯電効率を向上させるため体積抵抗率1 TΩ・cm以上を有する絶縁油とした.電極に印加する電圧はコンデンサーに直結させた.コンデンサーは直流高電圧電源で充電し,コンデンサーの容量を変化させることで,帯電量を制御できるようにした.印加電圧の極性は正負について検討を行えるように正極・負極印加に対応できるようにした.②気泡挙動の可視化システムを構築した.気泡の変形画像は超高速度カメラ(最大200 Mfps),発光現象画像はイメージインテンシファイア(光増幅率10^6倍以上),気泡崩壊時の発光強度は,フォトンカウンティング(低暗電流,光増幅率10^7倍)で計測できるシステムを組んだ.画像は,長距離ワーキングディスタンス顕微鏡レンズ,背景光用高輝度レーザ(連続光 5 Wタイプ),背景光導入用光学システム,光軸合わせ用微調整ステージ群,大型光学用防振台などを活用し,シャドーグラフシステムで撮影できるシステムを構築し,可視化による検証実験ができるようにした.また,気泡変形理論について検討を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画である,①レーザ誘起気泡を絶縁性液体中に発生させ,最大気泡径時に放電する装置の設計・作製,②気泡挙動の可視化システムの構築は終了し,予備的な可視化実験を既に行っているため.
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は,構築した帯電気泡圧縮装置と可視化システムを利用して,気泡崩壊時の気泡の挙動の可視化を行い,極端紫外光~X線を発生の検証を行う.気泡界面は崩壊に近づくと電位が上昇するが,電極に印加された電圧までは気泡内に留まる.気泡崩壊時は気泡の急速な収縮により気泡電位も急激に上昇する.これに同期させ電極印加電圧を接地電位まで下げることで,気泡界面に分布する電子を電極方向へ加速させ電極に衝突させる.特に,電子エネルギーを最大にするために,同期を適切に制御する手法を確立し,キャビテーション気泡を利用したX線発生法の原理を提案する.シンチレータとフォトンカウンティングを組み合わせることで,高感度X線検知装置を作製することで,帯電量の大きさと発生エネルギーの相関を明らかにし,X線発生法の確立を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は,実験装置作製ならびに可視化システム構築においてどの程度のエネルギーになるのか予備実験を進め,X線の検証のための計測装置の購入を行わなかったため,平成31年度にこれらの計測装置を購入し,計測を行う.
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