液体と気体の各々に対して局所平衡が良い近似で成立していても、相変化が生じているならば、気液2相は熱力学的相平衡ではあり得ない。このとき、気液界面近傍において、液相から気相へ向かう分子の速度分布と気相から液相へ向かう分子の速度分布はMaxwell分布からずれた非平衡な速度分布関数が形成される。界面領域において非平衡な速度分布関数が形成される過程を記述する法則が見出されていないために、液体領域と気体領域を接続し、界面を横切る非平衡輸送を予測・制御することができない。本研究の漸近理論は、数学的かつ物理的に正当な有効性と有用性をたもちつつ、上記の問題を解決することを目指すものである。
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