研究課題/領域番号 |
18K18830
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
土方 亘 東京工業大学, 工学院, 准教授 (30618947)
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研究分担者 |
永井 亜希子 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (40360599)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 体内発電 / 機能的電気刺激 / 骨格筋 / 電磁誘導 / 骨格筋刺激制御 / 静電誘導 |
研究実績の概要 |
ペースメーカ等の埋込型医療機器やSocitey5.0で実現が望まれている未病状態予測用体内ヘルスモニタリングセンサは,交換が必要な電池に代わる電源確保が望まれている.そこで本研究では骨格筋を外部電気刺激によって収縮し,その力学的エネルギーで発電機を駆動し,電気エネルギーを得る体内発電システムを提案している.本年度は発電機の出力向上のための設計を行った.本機構では筋収縮力で永久磁石とコイル間に相対運動を生じさせ,電磁誘導によって発電している.そこで,固定子側をコイルとし,振動子側を永久磁石としたムービングコイルタイプと,固定子側を永久磁石とし,振動子側をコイルとしたムービングコイルタイプの2種類について設計を行い,発電量評価実験を行った.実験の結果,ムービングコイルタイプは配線による減衰は小さく,ムービングマグネットタイプよりも振動子を軽量化し,固有振動数が向上できるため,発電量を向上可能であることを示した.また,静電誘導による発電量向上の可能性としてエレクトレットを用いた発電シートの開発も引き続き実施した.本発電方式では銅極板を0.1mm以下とすることでフレキシブル化を実現した.また,発電量向上のために積層構造を提案し,机上で発電量を試算した. また,昨年度は外部電気刺激によって筋収縮が生じ,外部負荷に力と変位を発生するまでの過程をモデル化した.このモデルを用い,外部電気刺激用矩形波信号の振幅と刺激継続時間を設計変数とし,筋肉が生じる仕事と刺激消費電力量の差が最大となるように,刺激信号の最適化設計を行った.アフリカツメガエルの腓腹筋を用いて,同様に矩形波刺激信号の振幅と刺激継続時間を変更し,最適な刺激信号を求めたところ,モデルをベースに算出したパラメータとほぼ一致し,提案するモデルを用いて発電量を向上する刺激信号を求めることが可能であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は電磁誘導と静電誘導両方について発電量の向上設計を行う計画となっていた.本年度はその計画通り,両方式それぞれにおいて発電量向上設計を行った. また,刺激制御についても,なるべく小さい刺激電力量で,より多くの発電量を得る刺激制御器の開発を目指している.今年度は当初計画通り,これまでに構築した筋収縮モデルを用いて,最適な刺激信号の生成法を開発し,実験によってその妥当性を確認することができた.
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今後の研究の推進方策 |
当初予定通り,最適刺激信号生成では,筋収縮モデルに筋疲労を考慮することで,長期視点での最適刺激信号の生成を目指す.発電機構については,電磁誘導方式については共振方式を検討し,静電誘導方式については積層方式を検討することで,それぞれで発電量の向上を目指す.最後にこれまでの成果を統合し,大型の動物を用いた発電実験によって,体内で動作させたときの発電量を評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
順調に研究が進み,予定よりも多少,消耗品の購入が少なかった. 次年度はより詳細な実験を実施するための消耗品費として差額を利用する予定である.
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