研究課題/領域番号 |
18K18832
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
橋本 稔 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (60156297)
|
研究分担者 |
塚原 淳 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (70601128)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
キーワード | ファイバーソフトアクチュエータ / PVCゲル / 芯鞘構造ゲルファイバー / 撚り糸構造 / モデル化 / ディップコート |
研究実績の概要 |
H30年度は、(1)ディップコーターを用いた芯鞘構造ゲルファイバーの作製と(2)ファイバーソフトアクチュエータの変位量モデルの考察を進捗させた。 (1)に関して、同心円断面形状を有するフレキシブルな芯鞘構造ゲルファイバーの作製を検討した。具体的には、銀をメッキしたミシン糸を芯糸として鞘部のPVCゲルをディップコート法により塗布することで目的の芯鞘構造ゲルファイバーを試作した。銀メッキミシン糸の下端に1 g程度の重りを取り付け、上端をディップコーターのクリップ部に固定することでミシン糸のたわみを解消し、PVCゲル溶液に浸漬、引き上げを行うことで鞘部のPVCゲル層を塗布成型した。浸漬、引き上げ工程は室温、防風環境下で行い、塗布後のPVCゲルの乾燥も同環境下で行った。この工程を4回ほど繰り返すことで百数十μm厚のPVCゲル層を成型することに成功した。さらに、得られた芯鞘構造ゲルファイバーを用いてソフトアクチュエータを作製し、電圧印加実験を行うことで予想されたアクチュエータ駆動を確認できた。今後は、カーボンブラックを含有したPVCゲルファイバーや金属ファイバーなど、異なる素材の芯糸について同様の検討を行うとともに、ディップコート時の引き上げ速度やPVCゲル溶液の粘度を最適化することで、ソフトアクチュエータ用の芯鞘構造ゲルファイバー作製方法を確立する予定である。 ファイバーソフトアクチュエータは、陰極ファイバーの芯鞘構造ゲルファイバーと陽極のフレキシブル導電性ファイバーとを互いにより合わせた構造を有している。(2)に関して、このアクチュエータの繰り返し単位構造に着目し、構成する陽極(陰極)ファイバーの長さを一定としたときのアクチュエータのファイバー径とアクチュエータ長さとの関係について考察した。今後は、実験値と比較することでより詳細なアクチュエータのモデル化を検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画では、H30年度中に芯鞘構造ゲルファイバーの作製、H30~H31年度にかけて撚り糸構造の作製とアクチュエータのモデル化と設計が予定されていた。現在、芯鞘構造ゲルファイバーの作製ならびに撚り糸構造の作製、アクチュエータのモデル化まで実施できており、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
H31年度は、(1)芯鞘構造ゲルファイバーの作製条件の最適化を行うとともに、(2)撚り糸構造を作製して、ファイバーアクチュエータとしての動作検証を行う。(1)に関しては、ディップコート時の塗膜の厚さが、引き上げ速度や塗布溶液の粘度と相関があるため、本実験でも引き上げ速度とPVCゲル溶液の粘性について検討する予定である。これにより、少ないディップ回数で百~数百μmのPVCゲル層を得ることを目指す。 また、電圧印加時のアクチュエータの変位量や発生力を計測して、(3)アクチュエータとしてのモデル化を行う。ファイバーの線径や撚り数とアクチュエータの変位や発生力の関係をモデル化する。H32年度は、(4)撚り方の異なる撚り糸構造を作製して、その特性評価とモデル化を行い、H31年度のものと比較しながら、最適な構造を見出す予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
3月に発注をかけたグローボックスが品切れのため納品が遅れたことによるもので、現状4月1日に納品になっており5月末の支払いで手続きが進んでおります。
|