研究課題/領域番号 |
18K18836
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高木 健 広島大学, 工学研究科, 准教授 (80452605)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 動力伝達機構 |
研究実績の概要 |
提案無段変速機の最大の特長は構造体を振動させることで動力を伝達できる点である.狭空間への動力伝達は従来のシャフト,歯車,ワイヤなどの組み合わせでは容易ではないが,提案無段変速機であれば,構造体を振動させることにより動力を伝達できる.また,把持した機器に動力を伝達することは容易ではないが,把持した対象を振動させることは容易である.ゆえに,提案無段変速機であれば脱着する必要がある機器へも容易に動力を伝達できる.さらに,完全に密閉された空間であっても,振動であれば伝達することは容易である.つまり,提案CVTであれば完全に密閉された空間にも動力を伝達できる.また,提案無段変速機は電気要素を用いないため,電気要素が苦手とする厳しい環境でも使用できる.しかし,これらの特徴をもつ提案CVTの設計手法は確立されていない.そこで,提案無段変速機の物理現象を詳細に計測することが重要であると考え,高速カメラやそのデータを処理するためのGPUなどの設備を整えた.しかし,現状において十分な精度での計測ができておらず,これらの器機の設置方法などを再検討する必要がある.一方で,力学的なモデルを構築しシミュレーションも行った.しかし,現状において実際の現象とシミュレーション結果はかけ離れており,設計手法の確立には至っていない.さらに,提案無段変速機の構造を工夫することにより,加えた振動が正確な円運動をするように改良する必要があると考えている.今後,これらの問題を明らかにし改善していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究において,提案無段変速機の設計方法を確立するためには,生じている物理現象を詳細に計測することが重要であると考えている.そこで,高速カメラやそのデータを処理するためのGPUなどの設備を整えたが,現状において十分な精度での計測ができておらず,これらの器機の設置方法などを再検討する必要がある.一方で,力学的なモデルを構築しシミュレーションも行ったが,実際の実験結果とは大きくかけ離れている.その原因として接触点のモデルが考えられるが,現状において明確な答えは出ていない.ゆえに,進捗状況として順調とは言えない.しかし,研究するためのベースは整ってきており,このベースを基盤とし着実に成果を積み重ねていきたいと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
現状において計測機器の整備が一番重要であると考えている.最終的には非常に小型の無段変速機を開発できることを目的の一つにしているが,それよりも設計方法を構築するために必要となる現象を計測することの方がこの研究での成果を汎用的に用いることができるため,重要であると考えている.高速カメラでの計測を考えているが,レンズ,レーザを含めた照明および,複数台用いるためそのカメラの同期方法を再検討する.
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