本年度に実施した研究の内容および研究成果について以下に述べる. (a)異なる磁石配置の永久磁石埋め込み型(Inner Permanent Magnet: IPM)モータの断面画像とトルク特性を畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network: CNN)に同時に学習させた.さらにCNNに教示していないテストデータを用いて,CNNの予測精度を検証した.この結果,学習させた磁石配置を持つIPMモータについては,十分な精度でトルク特性を予測でき,これによりトポロジー最適化を高速化できることがわかった.この研究成果は電気学会論文誌に学術論文として掲載された. (b)異なる電流位相・電流振幅に対するトルク特性をCNNにより予測する方法を検討した.この方法では,d軸およびq軸電流の2次式としてトルク特性を表現し,2次式の係数をCNNで予測した.この結果,CNNによる予測は十分な精度を持ち,またCNNによりトポロジー最適化を高速化できることがわかった.本研究成果は国際会議COMPUMAG2022で発表後,国際学術雑誌に投稿の予定である. (c)IPMモータの特性を学習させたCNNが,画像のどこに注目して特性を予測しているのかを明らかにするために,Grad-CAMを用いて注目領域を可視化した.さらに,最適化を2段階に分け,最初の段階では平均トルク予測のために注目している領域を抽出し,第2段階ではそれ以外の領域に設計領域を絞り,平均トルクに影響を与えないようにトルクリップルを減少させるようなトポロジー最適化を実現した.この研究成果は国際学術雑誌IEEE Transactions on Magneticsに学術論文として掲載された. (d)CNNのトルク性能の予測精度を向上させるために,モータ断面画像ではなく,磁束密度分布を入力する方法について研究した.この結果,本手法により磁気飽和の影響を考慮できるため,トルク性能の予測精度を向上できることがわかった.本研究成果は,国際学術雑誌IEEE Accessに投稿中である.
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