研究課題/領域番号 |
18K18842
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松浦 祐司 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10241530)
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研究分担者 |
木野 彩子 東北大学, 医工学研究科, 学術研究員 (30536082)
片桐 崇史 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90415125)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 赤外分光 / ヘルスケア機器開発 / ATR分光 / 量子カスケードレーザ |
研究実績の概要 |
本研究は中赤外領域で発振する量子カスケードレーザ(QCL)を用いることにより,センサ部に指を触れたり,測定プローブを耳たぶ等に取り付けたりするだけで,採血なしでコレステロール値,グリコヘモグロビン,および血糖値などの各種の体外診断を行うことができるヘルスケア機器を開発するために,実験による原理実証を行うことを目的として次の事項について検討を行った.1)FT-IRによる人を対象としたスペクトルデータ取得 複数のボランティアを募り,指尖からの穿刺血を対象に,総コレステロール,HDLコレステロール,トリグリセライド,血糖値の測定を市販の臨床化学分析装置および血糖値自己測定器を用いて行い,それと同時に申請者らが開発した右図に示すFT-IR分析システムにより,口唇を対象に中赤外領域における吸収スペクトルを測定した.2)特定成分の吸収ピークに着目したスペクトル定量分析 人を対象として測定した赤外吸収スペクトルには無数の吸収ピークが存在するが,それらのうち,コレステロール類に関連する脂質に起因する吸収ピーク群,およびHbA1cや血糖値に関連するブドウ糖による吸収ピーク群が波長10ミクロン付近に現れることがわかっている.これらの吸収ピークに着目し,診断項目値と強い相関が得られるピーク波長を探索した結果,血糖値については1155cm-1など,トリグリセライドについては1120cm-1などの吸収ピークが強い相関を示すことがわかった.3)線形回帰分析による最適波長選択 診断項目値を目的変数,スペクトル上の離散的な波長の吸収値を説明変数として,測定範囲内のすべての波長の組み合わせについて線形回帰分析を行い,血糖値に対して最も高い相関係数が得られる2~3波長の組み合わせを探索した.その結果,1150,1170,1192cm-1の3波長を用いると強い相関が得られることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)FT-IRによる人を対象としたスペクトルデータ取得,2)特定成分の吸収ピークに着目したスペクトル定量分析,3)線形回帰分析による最適波長選択のいずれの項目についてもほぼ順調に研究が進展し,良好な結果が得られてきている.
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今後の研究の推進方策 |
人を対象とした実験により得られたデータと測定項目との相関を向上させるために,測定手法の改善や新たなデータ解析方法の開発を行う.
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