研究課題
SF6ガス遮断器などと比べ、高電圧下における真空遮断器の絶縁性能は著しく低い。これは、真空遮断器内部で突発的に発生する“微小金属粒子”が絶縁破壊を生じさせるためである。しかし、このタイプの絶縁破壊現象を実証した例はこれまでになく、現象理解は長らく滞っている。そこで本研究の目的は、長年にわたり理解が進んでいない新しいタイプの絶縁破壊機構を解明することである。昨年度は、30nsの時間分解能と2usのフレームレートを有する高性能なイメージングシステムを構築し、微小金属粒子に起因した絶縁破壊現象をとらえることに世界で初めて成功した。これにより、(i)絶縁破壊を生じさせる粒子の粒径には~300umと~30umの2種類が存在すること、(ii)粒子に起因した絶縁破壊は必ず粒子が負電極に衝突した際に発生すること、(iii)電極間を飛行している間、粒子の粒径は小さくならない、ことなどを明らかにした。今年度は、上記のイメージングシステムを駆使した詳細計測により、微小金属粒子に起因した絶縁破壊現象の電極材料依存性を明らかにした。具体的には、(I)銀タングステン電極の場合、上述した2種類の微小金属粒子の主成分はタングステンであること、(II)銅や銅クロムの電極では、もし微小金属粒子起因の絶縁破壊が生じていたとしてもその粒径は~10um以下であること、などを明らかにした。
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