研究課題
申請者はこれまでの研究で、放電プラズマをマウスの癌に照射すると、癌に対するマウスの免疫が高まり、切除した癌の再発抑制や全身の癌に対する抗がん効果が得られる可能性を動物実験で示してきた。本研究ではこれを発展させ、放電プラズマをマウスの癌に照射して癌に対するマウスの免疫を高め、癌の転移を抑制できるかどうかを動物実験で検証する。初年度には、皮膚癌の一種であるメラノーマ細胞(B16F10)を用いてマウスの肺転移抑制の実験を行ったが、B16F10の転移能が強すぎて実験の難易度が高く、プラズマの顕著な効果は観測できなかった。そこで本年度は、転移への効果をみる異なるタイプの実験を行った。まず、癌種には転移能の弱い大腸癌細胞(CT26)を用いた。そして、転移の抑制を直接的に観測する実験ではなく、近年、癌の免疫治療に用いられるようになった免疫チェックポイント阻害剤の効果をプラズマで高めることができるか、という実験を行った。癌の免疫治療は、癌の転移にも抑制効果が期待される。その結果、マウスのCT26腫瘍に対して、チェックポイント阻害剤の一種である抗PD-1抗体の効果を、プラズマ照射によって高めることを示すことができた。この他、プラズマのどの要素が効いているかを調べる研究の一環として、ストリーマ放電の活性種密度計測、電子密度計測、シミュレーション開発、およびOHラジカルを照射して表面処理の効果を調べる真空紫外法の開発も平行して行った。
なし
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 6件)
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