研究課題
本研究では、導波路光デバイスや細胞等、透明または半透明サンプル内の任意の点の歪みや振動を精密測定する新技術の開発を目標とした。目標実現にあたり、サンプルの両端から光周波数コムのような周波数間隔の等しい多モードスペクトルを持つ光を入射する手法を提案し、昨年度までにスペクトル制御技術、および生成した光パルスによる散乱光誘起の原理確認実験と提案の妥当性の確認を行った。最終年度は、スペクトル整形技術を更に進め、サンプルとなる光ファイバの歪みを散乱光の強度から計測することを試み、その原理確認に成功した。特に、提案手法では相似形状をとる散乱光の利得スペクトルを周波数軸上に複数生成することが、他にはない特徴であり、これにより散乱光強度と歪みの関係を高い自由度で設計できる。また、これとは別に、サンプルとして用いた光ファイバにおける散乱光の生成と周波数変化のメカニズムは、光ファイバ回折格子と歪みによる格子ピッチによるものと類似していることに気づき、最終年度は光ファイバ回折格子を使った研究も並行して進めた。ここでは、複数コアからなるマルチコア光ファイバ(MCF: Multicore fiber)に回折格子(BG: Bragg grating)を加工したマルチコア光ファイバ回折格子(MCFBG)をサンプルとして用いた。MCFBGを曲げると、内側のコアと外側のコアとでは異なる歪みが加わることから、反射光の波長に違いが生じる。このことと、研究室で従来から研究を行っている強度相関計測技術を用いることで、MCFBGについて任意の曲げ方向と曲げの大きさとが、光スイッチ等によるコアの切り替えを行うことなく計測可能なことを実証した。
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OSA Technical Digest of Conference on Lasers and Electro-Optics (Optical Society of America, 2019)
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https://doi.org/10.1364/CLEO_SI.2019.SF3L.1