研究課題/領域番号 |
18K18861
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
斗内 政吉 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (40207593)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | テラヘルツ波 / 2次元原子層材料 |
研究実績の概要 |
本研究では、極限超高速・低電力動作・フレキシブル機能を有する革新的デバイス「原子層ヘテロ構造テラヘルツトランジスタ開発」に向けた原子層ヘテロ接合型ホットエレクトロンエミッタの開発を行う。 2018年度は、原子層ヘテロ構造の作製準備および原子層ヘテロ構造に近い電子構造をもつGaN/InGaNヘテロ構造における分極構造をテラヘルツ放射を用いて検証する実験を開始した。 原子層ヘテロ構造の作製準備として、試料部の温度制御可能な3元スパッタリング装置を立ち上げを行った。これは、現有のスパッタリング装置に、試料加熱機構とターゲット切り替えシステムを組み込み、極薄膜のヘテロ接合の作製を可能にする装置である。今後、原子層レベルの厚さの透明導電膜および酸化絶縁膜の作製を行い、その特性を計測する予定である。 また、原子層ヘテロ構造の予備実験として、数ナノメートルの周期を持つGaN/InGaNヘテロ接合をテラヘルツ放射顕微鏡を用いて計測することを開始した。GaN/InGaNヘテロ接合は典型的な量子井戸型のバンド構造を持ち、本研究の最終目標である原子層ヘテロ構造に近い特性を持つと考えられる。今年度は、InGaN層の厚さが1.5nm、2,4nmおよび3.0nmのGaN/InGaNヘテロ接合にフェムト秒レーザーを照射し、放射されるテラヘルツ波から、ヘテロ接合におけるキャリア分布や分極構造を検証した。その結果、ヘテロ接合界面における電荷の分布によりバンドが歪み、大きな分極が生じていることが確認された。また、InGaN層の励起により弾性波が生じ、試料内部を走行し試料表面でテラヘルツ波を発生することが確認された。この現象を利用することにより、原子層ヘテロ界面におけるバンド構造などを検証できる可能性があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料部の温度制御可能な3元スパッタリング装置を立ち上げを行った。一部、膜厚計の設置など完全動作をさせるためにの作業が残っているが、デバイス作製に必要な透明導電膜および酸化絶縁膜の作製の準備はほぼ完了し、予備実験が行える状態である。 また、原子層ヘテロ構造の予備実験として、数ナノメートルの周期を持つGaN/InGaNヘテロ接合をテラヘルツ放射顕微鏡を用いて計測することを開始した。GaN/InGaNヘテロ接合は典型的な量子井戸型のバンド構造を持ち、本研究の最終目標である原子層ヘテロ構造に近い特性を持つと考えられる。すでに、量子井戸に特徴的なテラヘルツ波が観測されており、予想以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
原子層ヘテロ構造の作製準備として、試料部の温度制御可能な3元スパッタリング装置を立ち上げた。これは、現有のスパッタリング装置に、試料加熱機構とターゲット切り替えシステムを組み込み、極薄膜のヘテロ接合の作製を可能にする装置である。今後、原子層レベルの厚さの透明導電膜および酸化絶縁膜の作製を行い、その特性を計測する予定である。 また、原子層ヘテロ構造の予備実験として、数ナノメートルの周期を持つGaN/InGaNヘテロ接合をテラヘルツ放射顕微鏡を用いて計測することを開始した。GaN/InGaNヘテロ接合は典型的な量子井戸型のバンド構造を持ち、本研究の最終目標である原子層ヘテロ構造に近い特性を持つと考えられる。今年度は、InGaN層の厚さが1.5nm、2,4nmおよび3.0nmのGaN/InGaNヘテロ接合にフェムト秒レーザーを照射し、放射されるテラヘルツ波から、ヘテロ接合におけるキャリア分布や分極構造を検証した。その結果、ヘテロ接合界面における電荷の分布によりバンドが歪み、大きな分極が生じていることが確認された。また、InGaN層の励起により弾性波が生じ、試料内部を走行し試料表面でテラヘルツ波を発生することが確認された。この現象を利用することにより、原子層ヘテロ界面におけるバンド構造などを検証できる可能性があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、原子層ヘテロ構造の作製準備として、試料部の温度制御可能な3元スパッタリング装置を立ち上げた。これは、現有のスパッタリング装置に、試料加熱機構とターゲット切り替えシステムを組み込み、極薄膜のヘテロ接合の作製を可能にする装置である。また、並行して原子層ヘテロ構造の作製準備および原子層ヘテロ構造に近い電子構造をもつGaN/InGaNヘテロ構造における分極構造をテラヘルツ放射を用いて検証する実験を開始した。18年度の予算で、3元スパッタリング装置の立ちあげを完了する予定であったが、膜厚系の設置など、一部次年度に繰り越した。これは、GaN/InGaNヘテロ構造をからのテラヘルツ放射測定が予想以上に進展したため、こちらの実験を優先したためである。そのため、スパッタ装置を中心とする成膜装置の立ち上げがやスパッタターゲットの購入が19年度までずれ込んでおり、そのため次年度使用額が生じた。
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