本研究では、大気開放下で接合面を活性化しながら接合する新しい技術(大気開放・局所活性化雰囲気における接合)の開発を目指す。前年度に引き続き、大気圧プラズマ照射等による表面活性化挙動や表面形状・接合状態等の把握に努めた。研究機関全体を通して、接合機構の設計・接合実験と接合中間層となる酸化物材等(シリコン熱酸化膜、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、サファイア等の酸化物やシリコン)に各種金属極薄膜の形成条件の調査等を行った。本年度は、世界的なCOVID-19の影響もあり予定していた一部の実験が十分行えなかったが、多くの有意義な知見を得ることができた。金属薄膜の形成には、スパッタ装置及び電子線ビーム蒸着装置等を利用した。接合温度(室温から200℃程度)・大気圧プラズマ照射条件(照射時間・照射後の大気暴露時間等)をパラメータとし接合を行い、有効性を調査した。現状では金極薄膜がパーティクルの影響は避けられないものの条件によっては、良好な接合特性が得られることも分かってきた。手法の有効性は分かってきたが金以外の金属膜接合の場合、接合強度が弱く実用化に向けた強度向上が今後の課題となる。課題解決に向けて今後も引き続き研究を推進し、得られた成果をまとめ学会発表や学術論文誌への投稿を行っていく予定である。本成果は、従来の超高真空装置が必要な大規模複雑プロセスから開放された将来の簡便な大気中常温接合技術の開発に向けた基礎データとして期待される。
|