研究課題/領域番号 |
18K18873
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市村 強 東京大学, 地震研究所, 教授 (20333833)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 人工知能 / 地震被害推定 / 大規模解析 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,大規模解析により得られたsupercomputed dataと物理的考察を踏まえた学習により,地震による物理的な被害(構造物や地面の揺れ等)推定のための人工知能構築手法を開発し,その有効性を示すことを目的としている.このようなアプローチは他分野への拡張も可能と考えられるため,特に汎用性を意識しながら開発を行うこととしている.本年度は,昨年度までの「地震による被害の物理的考察を踏まえた学習手法の開発」と「supercomputed data創出のための大規模解析手法の開発」を継続しつつ,これを拡張した.具体的には,より実問題に即して地震被害軽減を考える上で,地盤構造の曖昧さを如何に低減するかが重要なポイントのひとつとなる.そのため,supercomputed dataを元に最適化過程を学習する人工知能を開発し,地盤構造の曖昧さを低減するための地盤構造パラメータ推定を高速に実行可能な最適化手法の開発を,地震被害の物理プロセスを考察することで開発した.また,物理シミュレーションとして支配方程式を解くことでsupercomputed data創出のための大規模解析を行っているが,実問題を解くためにはこの解析コストが依然として大きいことが課題となる.そのため,生成されたsupercomputed dataを用いて支配方程式(=物理プロセス,具体的にはグリーン関数)自体を学習する人工知能を開発し,これを大規模解析の方程式solver内の前処理として用いることで,大規模解析の解析コスト軽減が可能なことを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Supercomputed dataの生成手法の開発と物理的な考察に基づく人工知能構築手法の基礎検討が順調に進められてきており,また, Supercomputed dataを用いた人工知能構築を試行的に行い,Supercomputed dataと人工知能による推定結果を比較することで,構築された人工知能の有効性が示されているなど,研究実施計画に基づき,おおむね順調に進展している.一方で,物理シミュレーションと人工知能の融合を当初想定以上に進められており,これを踏まえて補助事業の目的をより精緻に達成するため,研究期間を一年間延長する.
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画の想定通りに,「大規模解析により得られたsupercomputed dataと物理的考察を踏まえた学習により,地震による物理的な被害(構造物や地面の揺れ等)推定のための人工知能構築手法を開発」することが,現在までおおむね順調に進展してきている.一方で,物理シミュレーションと人工知能の融合を当初想定以上に進められているため,この融合をすすめつつ,補助事業の目的をより精緻に達成することを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業の目的をより精緻に達成するための研究を実施するため.
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