研究課題/領域番号 |
18K18886
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
梶田 幸秀 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10403940)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | ダイラタント流体 / 水溶き片栗粉 / 重錘自由落下実験 / 天然ゴム / 衝撃力緩衝効果 |
研究実績の概要 |
2018年度は,重さ127kg重錘を用いた重錘自由落下実験を実施した。ダイラタント流体として,水溶き片栗粉(ルーブリック)を用い,水と片栗粉の重量比を変化させ,緩衝材を作成した。水溶き片栗粉は,断面が15cm四方,深さ7cmの直方体の金型に深さが5cmになるまで流し込み,また,比較対象として,落橋防止システム用緩衝材として広く用いられている天然ゴム(クロロプレンゴム)も同サイズのものを用意した。厚さが70mmの無筋コンクリート板の上に水溶き片栗粉と天然ゴムを置き,重錘を自由落下させ衝撃力を与える実験を行った。実験の結果,比較的落下高さが低い,緩衝材に与える重錘の運動エネルギーが小さいときは,水溶き片栗粉の方がゴムよりも優れた緩衝効果を見せ,最大荷重を低減させることがわかったが,ある程度の高さを超えると,水溶き片栗粉がダイラタンシーを起こし,固化し重錘の衝突受け止めているものの,厚さ(深さ)が5cmしかないため,重錘を完全に受け止める前に,重錘が水溶き片栗粉を入れている金型の底面に衝突しており,その場合は,ゴムほどの緩衝効果が見られないということが分かった。 また,過去のゴム緩衝材に対する重錘自由落下実験の結果から,本実験で緩衝材に与えた重錘の運動エネルギーは,ゴムの許容圧縮面圧に達するために必要な運動エネルギーの5分の1程度であり,同サイズの水溶き片栗粉では,ゴム製緩衝材に比べて緩衝効果はほとんど無いということもできる。つまり,同一サイズで比較すると,現時点ではダイラタント流体を緩衝材として用いることは難しいことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他の研究課題の実験時期の調整などで,本研究課題の実験の実施時期が少し遅れた。また,現在,解析モデルを作成中であるが,非ニュートン流体の構成則の設定に少し戸惑っており,まだ,再現解析が行えていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
同一サイズでは,水溶き片栗粉では,天然ゴムほどの緩衝効果が得られないことが分かったが,サイズ,特に深さ方向を変化させた実験を行うこと,また,非ニュートン流体はダイラタント流体と擬塑性流体に分かれるが,これら2つの特性を持つ流体を組み合わせた実験も行いたいと考えている。 また,解析については,ダイラタント流体の構成則の設定を速やかに行い,実験の再現解析の実施を行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験を実施したが,現時点では重錘の運動エネルギーが小さく,まだ,コンクリート板が無損傷であるため,使い回している。よって,実験を行うための材料費については,計画したよりもほとんど使用していない状況であるが,今年度も引き続き,実験を予定しており,その際に,使用する予定である。
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