岩石破壊力学では,外力が作用した際のクラック近傍の応力集中を応力拡大係数と定義して固有の破壊靭性に達したときにクラックが進展するとしている.その背景からクラックの観察結果も報告されているが,それらの多くは劣化過程における分布を報告したものが多い.そのため,劣化後のクラック観察結果や,クラックという言葉のイメージから面的な形状が連想されているが,劣化前の形状を明らかにした報告は調査した限り確認できなかった.実際には,マイクロクラックがどんな形状をしているのかは定かではなかった.破壊力学に立脚する岩石破壊力学分野において,脆性破壊の発端となるクラックの形状は理論展開においても重要な意味を持つ.
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