研究課題/領域番号 |
18K18893
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤井 さやか 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70422194)
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研究分担者 |
小林 良平 東京藝術大学, 美術学部, 助手 (80759994) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 地域拠点 / 共生ケア / 高齢者 / 障がい者 / 子ども / 空き家活用 |
研究実績の概要 |
本研究は、高齢者・障がい者・子どもなど多様な人々が各自のできることを活かして互いに支え合う関係を構築し、それを地域で支える複合福祉施設を「相互支援を誘発する複合地域拠点」と呼び、拠点における相互支援プログラムと空間整備のデザインガイドラインの作成、社会実装を通じたモデル提案を目的としている。2015年9月の関東東北豪雨で被災した常総市で複合地域拠点整備を進めている地元NPO法人や地域住民と連携し、空き診療所と空き家を活用した拠点整備に参与観察しながら調査分析を行った。 2019年度は、視点①相互支援を誘発する条件・運営(ソフト)、視点②相互支援を誘発する空間デザイン(ハード)、視点③法制度との整合性の3点について、引き続き複合地域拠点の整備プロセスの詳細分析を行い、以下の点が明らかになった。 1)拠点整備の課題は次の5種類に分けられる:外部資金申請、資金調達、敷地・建物の法規調査、設計工事、運営プログラム 2)外部資金の獲得は拠点整備の推進要因になる一方で、その支給要件がソフト・ハード両面で制約にもなりうる。また高額の立替払いを要する外部資金では、実施主体の調達キャパシティがプログラムやデザインの制約条件となる。 3)既存建物活用の場合、③法制度との整合性が、設計工事段階だけでなく、空間デザイン及び実行可能なプログラムの自由度を強く制約する。そのため、事前の敷地・建物の法規調査が重要となるが、自由度の高いデザインを可能とする場合には、法規調査や適合対応に高額の予算が必要となり、実際のプログラム資金が不足し、活動の自由度が減ってしまうという矛盾がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、地域拠点整備を進めている事例の整備過程に参与観察しながら調査を行っており、調査の進捗は拠点整備の進捗に左右される。 2019年度末に事業の完了にこぎつけたが、これまで繰り返し計画の修正や変更が行われてきたため、その詳細な記録作成を優先したことから、分析自体はやや遅れている。しかし、十分な調査を行ったので、今後の分析は順調に進められる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
1)拠点整備プロセスの総括:2019年度末の拠点完成と補助事業終了を受けて、拠点整備のプロセス、リスクと対処方法の分析を行う。 2)相互支援プログラム(ソフト)と空間デザイン(ハード)の検討:事例に参与観察しながら、両者に必要な条件抽出とマニュアル作成を行う。 3)新型コロナウイルスの拠点運営への影響:感染症対応により、従来型の交流拠点も対策や変更を迫られている。参与観察を通じて、対応策を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
参与観察を行っている地域拠点事例の事業進捗が予定より遅れており、調査分析がやや遅れているため、事例調査に係る旅費及びデータ分析補助の謝金の予算分の次年度使用が生じた。次年度は事例調査旅費及びデータ分析補助謝金に使用する予定である。
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