2021年度には、コロナ感染症の影響が長引く中、当初予定したワークショップの実施は断念し、2020年度に実施した価値観分類と省エネ行動のきっかけに関する量的調査結果や、2020年秋の政府によるカーボンニュートラル宣言を受けて、今後の脱炭素社会構築に向け、再生可能エネルギーや地域資源を活用したエネルギーの利用に対する意向を調査することにした。2021年3月に政令指定都市の居住者、2021年9月には政令指定都市および首都圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)以外の居住者を対象として、新電力への切り替えに対する意向調査を行った。それぞれスクリーニング調査で個人属性や切り替え検討有無、切り替え検討先の電力会社名等を収集した後、その中から新電力への切り替えや検討状況によって対象者を選定し,本調査を行った。対象者の年齢は30代から60代で、本調査のサンプル数はそれぞれ224および303であった。調査の制約上、価値観項目は10項目の短縮版として調査した。結果として、首都圏、地方版ともに節約や信頼性が切り替え要因に挙がり、価値観について差は見られなかった。一方で、地方版では「応援」、「地域貢献」で変更した人が都市部よりも多い傾向が見られ、消費行動において「地元産」を意識する人のほうが切り替えるという傾向もあり、地域愛着との関係も予想される結果となった。逆に「検討も切り替えもしたことがない」人は、環境や地域にあまり興味がないことも検討も切り替えもしない理由として挙げられるのではないかと考えられた。続いて行った個別インタビューからは、地方居住者にとって「地産地消」は特に意識するものではないことが示されたが、今後の脱炭素社会構築ではあえてここを訴えていく必要もあるのではないかと思われる。地域愛着や地産地消に対する考えや意識に対する価値観との関係を3ヵ年の調査結果と合わせて総合的に検討し、発表していく。
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